『歴史を読み解く:さまざまな史料と視角』

永井路子氏:「衝撃の一冊」

キーワード 蒙古襲来 元寇防塁 石築地 八幡愚童訓 勘仲記 文永の役 かたあらし 二毛作 嘉祥木簡 杵嶋(杵島)庄 仁和寺 神崎庄 河口津 明書 藤原成親 盛頼 藤原定家 八条院 平康頼 平子  相良 熊谷 山内首藤 逆水灌漑 潮汐 正保福博惣絵図 島原の乱 天草 細川家墓所 阿部一族 森鴎外

   補遺参考:冬の嵐の天気図(平成16冬)、

文永の役の日にほぼ同じ日(季節):嵐の日の天気図

東シナ海で漁船が転覆するなど大荒れとなった。 4日の土曜日夜から日曜にかけて台風並みに発達しながら低気圧が通過した。 東京や千葉 でも雨交じりで風速40mオーバーの暴風雨を記録した. 目次

1文永十一年・冬の嵐

2カタアラシの語義と二毛作の起源

3久安四年、有明海にきた孔雀

4鹿ヶ谷事件と源頼朝

5南北朝の内乱と家の交代

6 風土と歴史---筑後川下流域のシオ(アオ)灌漑

7 福岡城に天守閣はあったのか

8原城の戦いを考え直す----新視点からの新構図-----

9殉死者たちの墓碑から---虚実はあざなえる縄


ガイダンス


歴史を読み解く・正誤表


新聞・雑誌書評

読売新聞・よみうり堂「本」 今週の赤丸から

現代の風景から、風化の激しい過去の痕跡を読みとる歴史家の想像力には舌を巻く。 現場に取材して事実を認定する作業は、記者と同じ。耳が痛かったが、現代こそ 歴史の宝庫なのだと知ったことも収穫だった。


西日本新聞

 恩師の土田直鎮氏らから「原典主義を貫け」と指導をうけた著者(九州大学教授)は、 原史料との対話が新しい史実の発見や、史実の修正につながることを実例を通して示す。  例えば蒙古襲来。文永十一(1274)年十月二十日の夜、博多湾に攻め入った元・高麗軍 (約四万人)は、暴風雨に襲われ姿を消したといわれるが、本当に嵐は吹いたのか。気象 台の荒川英俊説、旧九州帝国大学の中山平次郎説に「八幡愚童訓」「勘仲記」などの古文書 を対照させながら検証。この撤退は冬の季節風が吹く前に帰国する、折り込み済みの行動 ではなかったかと、と疑問を投げかける。  ほかに肥前国神崎庄に中国の宋船が到着したとあるが、それは有明海か博多か、福岡城 に天守閣はあったのか、などを俎上にあげる。  幅広い史料を手がかりに史実を再検討する著者は「自分の頭で考え直していけば、疑問 が続出する」という。随所に歴史学の面白さが詰まった本だ。

読売新聞04/01/10(西日本版・受贈本)


出版ニュース2004/2下

毎日新聞 20040507 狩野久「新たな民衆史観の胎動 多様な史料 駆使して」

史学雑誌113編6号 高橋典幸

保立道久『歴史学をみつめ直す』2004校倉書房→主としてかたあらし批判

今谷明『封建制の文明史観』2008:34頁→主として文永十一年冬の嵐の引用

堀内規之「御室と教学研究」『密教理趣の宇宙』平成19、299頁、孔雀引用

一部を除いてQIR九州大学学術リポジトリ https://qir.kyushu-u.ac.jp に登録いたしました。 http://hdl.handle.net/2324/17117 からごらんになることができます。


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