私たちが目的地・上十町に到着したのは、午前十一時半ごろ。お話を伺うことになっている山下さんのお宅には正午にお邪魔する予定だったため、雨の中、カメラ片手に周辺地域を散策してみた。
まず、道路と川の間の土地に、何やら神社があることを地図で確認した私たちは、雨宿りも兼ねてそこへ向かった。
しかし、お宮には煌々と灯りがついており、人が大勢集まっている。さすがにいきなり足を踏み入れるのは憚られて立ち往生していると、神社へと行く途中らしい地元の方が声をかけてくださった。
聞いたところによると、これからこの神社で神事が執り行われるという。
これはもしかしてとてつもなく忙しいときにお邪魔してしまったのではないかと不安を抱いた私たちだったが、とりあえず時間をつぶすため、その方々に教えてもらった、こちらは結構高いところにある神社へと足を運んだ。
そこには、「イチイガシ」と呼ばれる天然記念物があるという。 何を意味するのだろうと考えつつ、見上げるような長い階段を昇ると、三つの社があり、その脇には立派な樫の木が茂っていた。
由来を記した板によると、「イチイガシ」=「一位樫」であるということがわかった。 樹齢八百年ぐらいにはなるのだという。
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