三加和町上十町レポート

調査者

  吉川実芳

  浅田えり佳

 私たちが目的地・上十町に到着したのは、午前十一時半ごろ。お話を伺うことになっている山下さんのお宅には正午にお邪魔する予定だったため、雨の中、カメラ片手に周辺地域を散策してみた。
 まず、道路と川の間の土地に、何やら神社があることを地図で確認した私たちは、雨宿りも兼ねてそこへ向かった。
 しかし、お宮には煌々と灯りがついており、人が大勢集まっている。さすがにいきなり足を踏み入れるのは憚られて立ち往生していると、神社へと行く途中らしい地元の方が声をかけてくださった。
 聞いたところによると、これからこの神社で神事が執り行われるという。
 これはもしかしてとてつもなく忙しいときにお邪魔してしまったのではないかと不安を抱いた私たちだったが、とりあえず時間をつぶすため、その方々に教えてもらった、こちらは結構高いところにある神社へと足を運んだ。
 そこには、「イチイガシ」と呼ばれる天然記念物があるという。
何を意味するのだろうと考えつつ、見上げるような長い階段を昇ると、三つの社があり、その脇には立派な樫の木が茂っていた。
 由来を記した板によると、「イチイガシ」=「一位樫」であるということがわかった。
樹齢八百年ぐらいにはなるのだという。
一位樫
お稲荷さん
この写真はお稲荷さんの祠。
 さて、今度は三つの社だが、私たちは偶然、一番大きな社に御座を敷いていた地元の方にお話を聴くことが出来た。
 一番大きな社は、熊野権現というそうで、その日は午後から集まりがあるという。
先刻行ってみた神社のお祭りの後に集まりがあるらしい。
 真ん中の一番小さなものはお稲荷さんで、お参りするときにはお揚げをお供えすると良いらしい。ご利益として、探し物が不思議なほどよくみつかるという。
 稲荷について詳しいわけではないが、一般にお稲荷様は朱色の鳥居があって、商売繁盛の神様だったと記憶していた。しかも、神像が祀られている。
俗に言うお稲荷様とここのお稲荷さんは同じ系統なのだろうか。それとも全くの別物なのだろうか。
 一番左端の社は、宮地嶽神社だという。これは宗像のものの分社らしい。
 私たちは時間になるまで熊野権現の軒下を貸してもらった。勿論、お礼に御参りをしたのは言うまでもない。
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