1.2 梅岩集落へ向かう 〜バスを降りてから〜
バスから佐賀県伊万里市の道に降りたのは、10時35分頃だった。数時間前の福岡市の喧騒に比べると、周りはすべて緑に囲まれた、昔からの日本の農村という感のする地区だった。目的の区長さん宅まではおよそ3キロの道のりであった。私たちは、「11時ごろに伺う」という旨を、相手に伝えていたので、少し焦っていた。同じ方向に向かう、浦川君たちの班とともに、田舎の小道を目的地に向かって歩いていた。
すると、後方から軽トラックに乗った、地元の方らしいおばさんが、優しく声をかけてくれた。
「おまえさんたち、九州大学の学生さんかい。」
おばさんの話によると、私たちが現地調査に梅岩地区に向かうということが、その集落内で知れ渡っていたらしい。おばさんは、快く私たちを後ろの荷台に乗せて、目的地に連れていってくれることを引き受けてくれた。
田舎で、我々が来ることが知れ渡っていたのには、とても驚いた。後述するが、村の青年の集まりでも、「あぁ、あの、来るとかいっていた。」と知れ渡っていた。