あざな調査(歴史の認識)於 佐賀県鹿島市 古枝竹ノ木庭地区
調査日:2001年(平成13年)12月22日 1. 調査の概要 私たちは、あざなの収集、および昔の生活についての調査を行うために、佐賀県鹿島市古枝竹ノ木庭地区の調査を行った。 2. あざな 今回の調査の目的として、まず挙げられるのが、あざなの収集である。現在では、圃場整備がなされているため、水田が昔の形をとどめていないのであるが、あざなは今も残っている。今回の調査で考えたことは、あざなのつけ方は、多くが、その場所の土地的特徴や、馬の足を洗うところといったように、何かをしたりするところにちなんでいるということである。たとえば、地域の方は、田ん中が六枚あるので、「ろくまいだ(六枚田)」と表現したりしているとおっしゃっていた。また、溜池の近くの所「つつみうえ」「つつみした」というふうに、同じような原理で、名づけている。そして、馬の墓があったということから、「バトウガン」といったり、馬のあしを洗ったということから、「ウマレガワ」といったりしているとのことである。クチナオシテバは、昔、クチナワ(蛇)を捨てていた所であったのである。また、興味深いのは、テンバウというあざな。これの由来は、墓に天保…と彫ってあることにある点である。 |
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あざな(漢字表記) |
現在の小字 |
地形・土地利用 |
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ナガタン(長田) |
本谷・祭徳 |
田ん中 |
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ロクマイダ(六枚田) |
本谷 |
田ん中 |
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ヒャーシノウエ |
本谷 |
田ん中 |
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クチナオシテバ |
竹の木場 |
田ん中 |
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トウゲ |
本行 |
田ん中 |
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ヤゴウダ |
本行・平仁田 |
田ん中 |
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クレイワ |
本行・荒平 |
田ん中 |
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ツツミシタ |
本行 |
田ん中 |
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ツツミウエ |
本行 |
田ん中 |
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ミズアライ |
祭徳 |
田ん中 |
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テンバウ |
平仁田 |
墓地 |
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3. 水のはなし 農作業や、生活に欠かせない、水のことについて、地域の方はいろいろなことをおっしゃってくださった。 4. まつり(祭) 前章で、「水のはなし」という話題を挙げた。そこで、今度は、水の神様、祭について話をすすめていく。雨が降らないときには、雨乞いをするのだが、このことについて、下のような話をされていた。 5. 水田への水の分配 地域の南側に溜池がある。また地域の方は、「昔は水ばいることちゃんとしちゃったけど、今は圃場整備でねぇ、あぎゃんてして、いることばしちょっとけど」「上ば溜めてから上から順番にずっと来よる。」とおっしゃっていた。このことから、水田への水の分配が、圃場整備がなされる前からも、秩序のある方法でなされたことを考えさせられた。 6. 昔の農作業について 圃場整備がなされたり、農業用機械が導入されたりする前の農作業は、どのようなものだったのだろうか。 7. 昔の生活 私たちは、地区の人々が昔、どのような暮らしを送っていたか、についても伺った。 8. この地域の変化・そして現在 最初に述べたように、この地区では過疎化が進んでいるという。実際、私たちが竹ノ木庭で、「他にこの地域について詳しい方はいらっしゃいますか」と尋ねたとき、地域の方はこんなこともおっしゃっていた。よくその頃のことを知っている方は、ほとんどお亡くなりになってしまったらしい。たいしょうの「くすもっちゃん」という方がよくご存知らしいのだが、今は風邪で寝込んでいるそうだ。 9. 謝辞 今回の調査で、竹ノ木庭地区の区長さんであり、私たちの聞き取りに応じてくださった小池辰男さん(昭和25年生)、また、地区のことについて教えてくださった、峰松チヨさん(大正5年生)、峰松次雄さん(昭和16年生)、そして、小池さんの奥さんに、この場を借りて感謝の意を申し上げます。 |