波戸(前田)に関するレポート

法学部1年 鵜篭 俊

法学部1年 小木野 賢裕

●はじめに

 7月12日、私たちは佐賀県の波戸への現地調査へと向かった。今回は我々のグループだけでなく、先方の都合が悪かったこともあって別の班も共に行動した。呼子のおいしそうなイカを見た後、私たちはバスで現地へと向かったが、途中でバスが道に迷ってしまうトラブル発生した。その際、波戸の坂本さんという方が気を利かして私たちのバスを誘導してくれ何とか現地に到着し、事前に手紙で連絡してあった坂井さん(大正14年生まれ、83歳)と会うことができた。そこで私たちは軽い挨拶をした後、すぐに坂井さんの案内の下、調査を開始した。

 

事前調査

 まず私たちは事前に図書館で波戸のことについて調べた。波戸は、東松浦半島の西北端に位置し、村全体が岬上を呈し、その先端が波戸岬となっている。『水路志』の中の記述に見られるように波戸岬は風の激しい時は陸部を潮が洗うほど低い。北西部の海岸は急潮流の波戸水道で、古来航路ではあるが暗礁が多く、船舶の難破がしばしばあった。いまも唐・宋時代の陶磁器の破片が海岸に打ち上げられている。絶壁が多く、波戸港以外に良港はない。「正保絵図」に「波戸村・波戸浦」と見える。また、ここは文禄・慶長の両役の折、多くの武将の陣屋が設けられた。佐竹修理大夫の「波戸庄屋ノ上タケ」、北条助五郎の「波戸後口磯付カウダ」、堀田右衛門尉の「波戸後口磯付カウダ」、島津薩摩守の「波戸後口磯付ユフタ」などがある(松浦古事記伝)。また、島津陣屋跡は国指定史跡となっている。藩政後期には唐津藩の大砲台場が設けられ、現在の灯台になっている。

 ・参考文献

    ・角川日本地名大辞典・佐賀県

    ・佐賀県の地名(平凡社)
 

聞き取り調査

 次に、坂井さんに主に土地のことについて歩きながら少しずつ伺った。ただし、私たちの活動のほとんどが坂井さんが説明してくださった場所を探索するものだったので様々なことを聞くことができなかった。

@    Q.山見とはなんですか?また、その経験者はいますか? 

⇒A.山見とは、ウオミの坂(現地探索で写真あり)から数人が海を見て合図お送り、網を引き上げて魚を採る方法なのだそうだ。今では行われなくなったが昔はよく行われていたらしい

 AQ.波戸の風の特徴はなんですか?

A.とにかく風が強い。冬には歩けなくなるぐらい強いかぜが吹くそうだ。また、戦争から帰った人が「波戸の風は満州の風より強かった」と言うほど波戸の風は強い。

 BQ.まだ漁はなさっているのですか?

   ⇒A.さすがにもう御高齢なので漁には参加していないそうだ。でも、坂井さんには参加したいという意志はあるようだ。

 

現地探索

 坂井さんとあって挨拶をして後すぐ私たちは坂井さんの案内の下、徒歩で現地散策を行った。

 @境界(波戸と鳥の巣)

この場所は波戸と鳥の巣の境界のところらしい。多くの草花が茂っていて近くで見ることはできなかった。

 Aウオミの坂

       

    聞き取り調査にもあるように昔はこの坂から魚(ウオ)を見て漁を行っていたそうだ。

B波戸漁港

 

 

    ここで私たちは波戸の様々な地名を坂井さんから教わった。(地図参照)上の写真は文禄・慶長の役の際の各武将の陣地を示した地図を写したものである。私たちが高校で習った名前の武将も数多く見られた。また、サツマジンバナ(地図参照)のようにこのときの陣地がそのまま地名となっていることもあるようだ。また、「バナ」とは「さきっぽ」の意味らしい。

 C天狗岳

  

波戸漁港での昼食後、私たちは天狗岳へと向かった。ここは、『大和田重清日記』に1593年文禄2年、波戸天狗岳付近で「唐人見物ニ参」「花火多数サセラル」とあるように日本初の花火打ち上げの地であるらしい。

 

 Dセンタク川

   

ここは名前の通り昔人々が洗濯を行っていた場所らしい。すぐ近くが海ですごく景色がよかったが、センタク川にたどり着くまでは左側の写真にある藪の道からしばらく獣道のような場所を通る必要があったので洗濯における昔の人の苦労がなんとなく感じられた。

 

E波戸岬

   

私たちは最後に波戸岬へと向かった。左側の写真はその道中で撮影したクビレオオシキである(地図参照)。波戸岬はやはり坂井さんの言ったように風がかなり強かった。波戸岬では、私たちは展望台に入り、周りのきれいな景色や坂井さんが案内してくださった場所を再度見た。そして、その後坂井さんのご好意により私たちはサザエのつぼ焼きとイカ焼きをいただいた。サザエとイカはとても美味しくて感動した。

 

最後に〜調査を終えて〜

 私はまず佐賀県に行ったことがなかったので波戸での調査は波戸の地名を調べ探索する以上に有意義なものであった。地名というのはかなり厳密に決められているのではないかと思っていたが、昔洗濯に使っていたからセンタク川、昔薩摩の陣があったからサツマジンバナなど案外簡単に作られてしまうものなのだなと思った。また、今回のこの発見から各地の地名を調べて、「この場所は〜だから昔〜が行われた又はあったのだろう」と想像することも面白いのではないかと思った。今回案内してくださった坂井さんは暑い中徒歩で案内してくださり、さらにサザエやイカを食べさせていただいたりとお忙しい中いろいろとお世話してくださいました。本当に今回の調査は色々な意味でためになりました。ありがとうございました。(鵜篭)

 今回波戸に行ってまず自然が豊かなところだなという印象を受けた。いろんな人たちと話す機会があったが、みんな丁寧に応対してくれてさまざまなことを知ることができた。なかでも、波戸が「日本初の花火打ち上げの地」だったことに私は驚いた。また最後にいただいたサザエとイカのおいしさにはとても感動した。今回特にお世話になった坂井さんは私たちと一緒に歩いていろいろな場所を案内してくれました。地名の由来や波戸の歴史などを詳しく教えてもらったので研修がとても有意義なものになりました。坂井さんをはじめとした波戸のみなさん、本当にありがとうございました。(小木野)

 


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