【杵島郡山内町中郷地区】

歴史の認識 現地調査レポート

1LA98255染井顕一郎

1LA98243村田 大樹

お話を伺った方

 福田治美さん 大正12年生まれ

 福田雪江さん 大正12年生まれ

 

しこ名一覧

中郷(ナカゴウ)

 タテギレ(立切)

  ナガフケ(長フケ)

 マツノトウ(松の塔)

  イケンタニ(池谷)

  トンマガリ(トン曲)

 ウメノキ(梅ノ木)

  フルミド(古水井戸)

 ハシラベットウ(柱別当)

 トンコバ(トン古場)

  エグチ(江口)

 スエンダニ(末谷)

 イランサコ(イラン狭谷)

  ウーフケ(大フケ)

  ハスボリ(蓮堀)

 モンジョ(門所)

  トンツジ(トン辻)

 アマゴダニ(天古谷)

  フカンタニ(深谷)

田畑

 小字山崎のうちに

  タテギレ、ナガフケ、マツノトウ

 小字中郷のうちに

  ウメノキ、フルミド、マツノトウ、ハシラベットウ、イランサコ

  小字平野(2-1)のうちに

  ウーフケ

 小字平野(2-2)のうちに

   不明

その他

 小字山崎のうちに(2-1)

  イケンタニ、トンマガリ

 小字中郷のうちに

  トンコバ、エグチ、スエンダニ

 小字平野のうちに(2-1)

  ハスボリ、モンジョ、トンツジ、アマゴダニ、フカンタニ

 小字平野のうちに(2-2)

  フカンタニ

 

由来、その他

     エグチ……ここの土地は元々江口という士族のものだった。

     イランサコ……場所的に狭い場所にあったため、圃場整備されなかった。

     モンジョ……昔この場所に門所院という寺があった。

     フカンタニ……元々タンナカがあったが、現在犬走水源地になっている。

     ナガフケ・ウーフケ……フケタンナカと言い、タナナカが深いため干魃時にはよく米がとれるが、雨が多い時には水はけが悪く苦労する。

 

村の水利について

 全ての水田は村の真ん中を流れる鳥海川(とのみがわ)から引水されている。

 鳥海川の源流は神六(じんろく)(唐津)から流れている。

     溜池

   犬走水源地……山内町所有

   深谷池……犬走所有

   外5つ 灌漑用の溜池あり。

・ 井堰

   古井戸井堰

   梅の木井堰 写真参照 (写真省略:入力者)

   松の塔井堰

   平野井堰 写真参照 (写真省略:入力者)

   不動井堰……踊瀬所有  

      以上地図参照 (地図省略:入力者)

 この地域は割合水が豊富で、過去にも村内、村間共に際立った争いはなかった。但し、昭和43年大干魃があり、タンナカの7割が涸れてしまった。このときは、深谷池をはじめ、全ての灌漑用溜池も役に立たず、鳥海川を掘るなど必死の対処を試みたがうまくいかず、最終的に雨乞い(六角川の水を竹の筒に入れ、黒髪山の山頂まで持って行った)をしたところ、奇跡的に雨が降ったそうだ。因みにその名残が黒髪山への遠足という形で残っている。

 

村の発達について

 電気は結構早くからきており、大正の初めには既に使えた。但し、村の中心から少し離れたところに住んでいた人は割と電気がつながったのが遅く、夜はランプで生活をしていた。

 

入会山、その他について

 区の森林組合が区有林として管理していた。区が全部まとめてしまうため、村民との間で争いになることもあった。

 林業は管理費の方が高く付くため儲けにならない。

 

米の保存について

 農協はかなり昔からあった。自分の家で乾燥させ、その地域でもみすり、脱穀したあと農協に出していた。

 

村の家畜について

 牛……農作業のため主に去勢した(太らせるため)雄牛を使い、年老いた牛は食用に売り出してて、また若い牛を手に入れていた。

 豚……食用でおおよそ一家に2頭ずついた。

 山羊……山羊の牛は人の母乳に近く、赤ん坊に飲ませたりしていた。

 ニワトリ……たくさんいた。

 

祭り、その他の行事について

 7月18日頃 祇園祭り 青年倶楽部による踊り

 8月1日頃 土用祭り 避暑のために家族全員公民館に集まって飲んで歌ってさわぐ

 9月23日頃 彼岸籠り 秋分の日、犬走独特の浮立(ふりゅう)踊りを踊る。しし浮立(イノシシ)、面浮立()などがあり、その年の豊作を感謝して踊る。不作でも踊る。

 1218日頃 相撲大会 翌年を迎えるに当たっての祭り。

  *青年倶楽部とは小学校を卒業した20歳前の兵役前に団体生活を営んでいた人たちのこと。

 宗教は9割近くが浄土真宗で朝晩仏壇にお参りをし、先祖を敬う心を大切にしている。

 

・昔の遊びについて

  むくろうち、瓦当て、まりつき、お手玉

 

・村の伝説について

 その昔、黒髪山の天童岩に7巻き半の大蛇が出現し、まんじの姫がその大蛇のとらわれの身となってしまった。姫は大蛇にのまれてしまうことを悲しみ、小声で泣いていたところ、それを聞きつけた源為朝公が間一髪大蛇を弓で射て助けたそうな。ここから小声峠の名が付いた。

 

・農業の機械化について

 動力脱穀機……昭和50年から

 耕耘機……昭和55年頃から

 

・今後の中郷の展望について

 この地域は人口の減りはそんなに著しくはなく、犬走全体で500世帯が450世帯(ママ)、中郷地区内では30戸から32戸とむしろ増えている。しかしこれからの中郷についてはそこまでの発展は望まず、今のままでいってほしいそうだ。問題は收入の確保で、農業だけではなかなか生計が立てられないため、農外收入の道を開いていかなければならないらしい。

 

当日の行動

7月11()

AM9:00 六本松本館前集合

 AM9:30 六本松発

     都市高、九州自動車道を通り佐賀へ

 AM11:00 山内町中郷到着

      村内を見て回る。

 PM0:15 福田さん宅訪問

     昼食を御馳走になってその後様々なお話を聞かせて頂く。

 PM2:30 福田治美さんと共に中郷内の井堰や田畑を見て回る。

 PM3:15 福田さん宅に再び戻りスイカを御馳走して頂く。帰る際には漬物とお茶をお土産として頂く。

 PM4:00 福田さん宅発

 PM4:30 中郷発

     九州自動車道、都市高を通り六本松へ。

 PM6:00 六本松着、解散