【藤津郡塩田町谷】

現地調査レポート

1TE99211 松本孝司

 

《聞き取りをした人》

宮崎正博さん

 

《村の名前》谷

 

《しこ名一覧》

<田畑>

 小字熊野のうちに:ウラダニ(裏谷)、ゲンゾ(源蔵)、ハヌウチ(ハヌブチ)

 小字谷のうちに:ヒラセ(平瀬)、ホウレンジ(ほうれん寺)、ヤナギハラ(柳原)、クボ

 小字関東一のうちに:ガメイシ

<宅地>

 小字熊野のうちに:タケンシタ(竹下)、ハザコ

小字谷のうちに:ヘタノミセコガ(辺田の店こが)、ヤシキ(屋敷)

 

《しこ名の由来》

・ほうれん寺

昔、山の上にあったお寺が土砂崩れによって川の付近まで流れてきてしまった。そのため、そのお寺が流れ着いた場所を「ほうれん寺」と呼ぶ。

・ガメイシ

川の中に石がたくさん出てきていたため、その石の様子から「ガメイシ」と呼ぶ。

 

《「谷」という村について》

谷付近の4つの村、谷、辺田、熊野、南を美野といった。昔は五町田村 美野 谷というのが正しい呼び名だったそうだ。話の中では谷を村ではなく「ぶらく(部落)」と言っており、谷は村の一部だということが分かった。

美野は五町田村の飛地だった。なぜならこの近辺の堰の開け閉めによって五町田村へ届く水の量が決まってしまうからである。この水利の関係から、昔から五町田の人々は美野に水の礼として酒などを持って来る。また、谷も塩田川の上流にある千石遺跡に彼岸の最後の日に酒などを持って行く。

谷を流れる塩田川が氾濫すると、源蔵に水が留まる〔溜まるヵ:入力者注〕。しかし、堤防が切れて南はよく水に漬かっていた。今でも役場は高い場所にあるが、今では上流にできたダムのおかげで塩田川が氾濫することはない。今、源蔵は県に買い取られ、昔の川の改修工事で出た泥などがたくさんたまって荒れ地になっている。もったいないと思うが、県のものなので、なかなか扱いが難しいという話を聞いた。

熊野の近くでは石を砕いて焼き物の材料となる泥を作っている。昔は潮の満ち引きにのって船で石を運んできていたが、今ではトラックで輸送している。この付近では酒も作っている。酒を作るための米を業者と契約して作っている。



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