南志田

調査者 中ノ森千弘  塚本 佑三子

栗原正義さん  67歳

 ・しこ名 
 椿原―観音谷
 天神龍―城の尾、丸尾
 東山―新窯(釜)
 山ノ木―ネ田
 志田原―馬場
 白久保―山の神、せんこ、新兵衛
 本志田原―ネドコ墓
 
 ・農業
 田 35ha  畑 10ha  山林 40ha
農業従事戸数 55
 <圃場整備>
 10Rに平均6面の水田があったものを1面に整備。
 昭和53年に天神龍、志田原、椿原で、昭和54年に白久保、山ノ木で圃場 整備開始。
 <水田の引水>
 平ヶ倉のため池 2こ(8万t、6万t)
椎久保堤 (8万から8.5万t)
<村の水利>  平ヶ倉・・・範囲が広いため水番役の権限で10Rあたり4800円で水を配 分
 椎久保堤・・・栓役が実際に水の調整をする。栓役は非常災害時にも働く。
 <災害>
 平成6年の干ばつ時には農作物の収穫が激減。
 対策として、節水に努め、出水を溜め、川をせきとめてポンプで水をもとに戻 すなどした。
・まつり
<農業に関する水神様にまつわるまつり>
6月25・26日 さなぼり(早堀)
田祈祷の行事
8月31日 210日の風日
立春から数えて210日目に水稲の花が咲くころ、風を鎮めることを祈ったまつ り。

9月23日 彼岸ごもり
「米が今年も立派にできました」という報告をするまつり。
12月25日 大まつり
水神様に「1年間ありがとうございました」と、できた米で作った甘酒をお供え するとともに感謝するまつり。
<他のまつり>
3月 花入り15日
12月 もちつき 家回しで行う。
毎月9日 山神祭り
現在では意見交換の場になっている。
11月3日 秋まつり
志田神社で1年間の感謝のまつりをする。

・窯業
志田焼き・・・肥前鍋島藩御用窯として1700年ごろに始まり、刷毛目の陶器 や染付の磁器など多数生産。天草の石を使用。塩田港からフィリピンやソウルに も輸出。

・和泉式部の生誕の土地である。

・将来の展望
 椿原をベッドタウンにしたい。しかし、農家と新参者の混住は難しく、新しい 居住者  だけをまとめてひとつの組にするなどしなければならないだろう。
 米やみかんの農業については、生産調整が行われていて安定しない。その代わ りいちご、  いんげん、小ねぎの施設栽培で生き残りたい。
 安定した農業をめざしてのびやかな風土を生かし、さらに新しい農業へ取り組 んでいき  たい。
・感想
南志田は山のふもとにある静かなところでした。お話を伺った栗原さんは、私た ちを快く迎え入れてくださって、いろいろな資料をひろげて熱心に質問に答えて くれました。
奥さんはおいしいお昼ご飯を出してくださって感激しました。
普段はあまり考えることのない昔からの地名や風習を、実際に自分たちの足をつ かって調査したのは、とても新鮮でおもしろかったです。