韓国の人たちはとても桜が好きだ。むかし光復のおりに日帝支配の象徴たる桜を切り倒したという話を聞いたことがある。しかしいまはどんどん桜並木が増えている。若木がとても多い。2002年春休みに韓国と家族旅行をしたが、いつもの年より開花が早く、釜山梵魚寺や慶州市街・仏国寺で桜を満喫できた。梵魚寺は一瞬バスの車窓いっぱいに逆光の桜をみた。慶州では半月城跡の斜面を滝のように流れる桜をみた。雁鴨池・古墳公園、それぞれの花吹雪もみごとだったが、仏国寺へのバス道のさくら並木は、延々とほんとうに長く続いた。仏国寺では多くの人が花に酔いしれていた。私たち家族もコンビニで買ったお昼を食べ、私はハイテを開けた。慶州の桜は、日本のどの桜の名所よりも見事なのではないかと思ったほど。しかしかえりの鉄道の車窓から見る限りでは、仏国寺から釜山までの間に、ほとんど桜はなかった。ひとむかしまえは桜の名所といえば軍港のあった金海だった。韓国の人たちが身近に桜を愛で、また植樹するようになったのは、まだまだ最近のことなのであろう。