1996年8月9日 みなと一緒に熊野市駅に出る。教育長や前さんと知り合いの運転手のタクシー に乗って、池原経由で坂本ダムへ、池原までは近かったが(9000円弱)、そ こからが遠かった。途中の宮の平は唯一のダムサイトの村。新しい家ばかり、宗 教活動でもしているような感じ。それともダムの補償で上にきたのか。下車地点、 11時25分。18400円、オートキャンプの家族連れが遊んでいた。びっく りするような清流で楽しそう。薬師の建物を左に見て、しばらくは明瞭な道を行 くがすぐにズダズダになり河原におりる。12時、渓流靴はきかえ。12時45 分、駅で買っためはりずしを食べる。いつもながら何も入っていなくてまずい。 サオを出してみる。最初にかかったのはうぐい、あとはハヤ。1時45分出発。 ガイドブックの湯淵はわからず、長淵らしきものはあった。白崩谷は明瞭、大き な出合。3時45分休み、この間岩小屋わからず、大きな石はたくさんあった。 アメ止め淵の淵と滝は明瞭、真っ青で深い淵。しかし道はそれより左の岩の間を 行く。4時15分道の前に大きな岩小屋登場。たき火の跡もある。この日は比較 的余裕があったつもりだが、釣りをやりたくてビバークにする。すこし下って最 初のアメノウオ。放流サイズだが、貴重なおかず、確保する。もう少し下がると さっき通過したアメ止め淵。ここはハヤばかり、どうやらアメ止め淵は、今では ハヤ止め淵らしい。 暗くなってたき火、ウグイもハヤも味噌の中で焼く。味はアメノウオも皆一緒。 夜中は満天の星、最高のねぐらだが、岩小屋がたき火で剥離して落ちてこないか 不安になる。九州に移ってはじめての沢。 8月10日 5時半出発。すぐにものすごく急な階段状のダンダン滝に出る。これが烏帽子 滝だろう。左を巻いて行くが、なかなかはかどらず、石の間から噴出する滝有り。 巻道に石積みをしたところもあったが、小屋でもあったのか。その後すぐ巻道が 切れたところでいったん沢に戻るもほとんど前進できず、また巻道にはいったり する。中揚谷に7時45分。コースタイムはこの間1時間になっていたので倍か かったことになる。かなり焦る。地獄釜の滝は秀麗。これを巻くのにも巻道を深 追いしすぎて時間をとる、8時20分滝上。この上は巨岩と淵が美しい。ときど き魚が走る。釣りはあきらめていたのでサオは出さず。10時10分休み。巨岩 が多く腹這いで潜ったりしながらいく。ザックを降ろして上に投げ空身で上がる ことのくり返し、別にショルダーの必要も感じない。少し戻りさえすれば、どこ も通過できるが、ひたすら前進にこだわると難しい。岩の中を水が噴出する滝を 中段から望むこともできる。じつにみごと。1カ所、他のパーテイが岩に追い上 げられて、ロープで下りたらしい所があって残置ロープがあった。この巨岩には 登らず。その岩の横の低いところのちょっとした岩にかけられている捨てナワが あった。淵に岩を投げ入れ足場にしようと試みるがうまく行かない。ザックをあ げて捨てナワを思いきりひっぱって何とか登れた。この間巻道には全く入らなか った。大岩にあたった所はさすがに通れないが、右側に明瞭な巻道もあり、しか もロープまで二本置いてあった。11時近くなって西の滝の頭が見えて安心した。 しかし実は考えが甘かった。ここにはガイドにある泊まり適地もあってたき火の 跡があった。その少し上、中の滝が見えたが、これを西の滝と誤認、つまらぬ滝 を見るより釣り、ちょっとした川原で昼飯と釣りをする(11時25分〜12時 45分)。ミミズをもっていかなかったから、川虫を捕るのに時間がかかる。釣 れず。これよりガイドブックの記述にひかれすぎて、支流であることは承知して いたが中の滝の下まで行ってしまう。13時30分。ガイドブックには5分とあ ったがもっとはるかに時間がかかった。整備されているらしい岩小屋があって中 の滝岩小屋とペンキで書いてあった。この間西の滝の姿が刻々と変わり、写真を かなり撮る。中の滝から尾根に上がる。尾根に出たところに小屋の跡。このとき までここから本流(しおから谷)に出られるとばかり思っていた。 ここから明瞭 な道がついているのでそれを登っていったがこれでは沢身に降りれないと気付く。 これは下山後千石尾根だとわかったが、ガイドブックは皆滝見尾根と誤記。思案 の末やはりもとの出合いまで戻る。降りる途中に鎖場有り、かなり利用されてい る道か。出合い14時45分。それからしおから谷を遡行。かなり深い淵もあり、 つかる気もせず、いくつか高巻。捨てナワなどもあったが、使わない方が登りや すい。高倉滝は右を巻くことになっているが、左に入ってしまった。多少悪く降 りられるか不安だったがルンゼを簡単に降りられた。この頃バテテきて苔の生え た石で滑って左臑を強打。降り立ってから次々出てくる淵には魚影あり。17時 30分近かったのでビバーク適地を探す。ガイドブックの釜大きい3メートル滝、 とても素敵な所なのでゴロゴロ石ばかりで砂の川原はなかったがビバーク、川虫 を苦労して捕り、20センチのアマゴを釣る。跳ねているところを写真に撮る。 が、あとはつづかず。ビバークのビスケットを食べ魚をたき火で焼いて寝る。予 期せぬ休肝日。ザックを敷いて石を枕に熟睡。一晩一万円のホテルよりも良い。 二晩でタクシー代ももとをとったことになる。晴れていたが星の影が薄い。夜中 パラパラ雨降る。シートを上にしただけで朝まで寝てしまった。 8月11日 日程、体力を勘案し、大杉谷は断念。谷はもう終わりとわかっていたから気の 済むまで釣りにする。下のきのう魚がいた淵まで下るが、澄み切った淵で魚に糸 や針が見えているのか、どこでも一瞬大物が近づくが、背をかえして逃げていく。 釣れず。 9時頃出発。すぐに東の滝、そのまま納竿して右手の岩場を登り始めた が、ハーケン、ボルトの連打。さすがにノーザイルでは厳しく、びびってボルト から下る。10時退却。巻道はかなり戻ったところにあり明瞭、途中滝見の人に 会う、二日ぶりの人間だからびっくりしてしまった。どれぐらいかかるか聞かれ たので、2泊と答えたが、滝までの時間を聞かれたのだった。巻終わると観光客 がたくさんいたが、かまわず沢床を行く。吊り橋はまったくの観光地。駐車場1 1時。大台ヶ原の森自身は気分の良いところ。あとは近鉄ツーリストの旗をもっ たグループに混じり日出岳(秀が岳)に登る。12時半のバスで帰り帰名。京都 の納骨に随行を命じられるが、伊吹から電話があったので免除された。翌日大泉 へ。 96年8月作成