歩いて歴史を考える　〜西有田町広瀬山〜

1EC99004　安藤慎烈

1EC99039　小野俊二

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調査を依頼した方の名前

市川孝さん

市川嘉代さん

 

・しこ名一覧

1、 ゴンゲンサン(権現さん)　金輪神社

2、 ヒョウタンヅツミ(ヒョウタン堤)　ひょうたん溜池

3、 テンジンサン(天神サン)　八幡宮

4、 フタツイシ(二つ石)　田圃の中に大きな岩が二つある

5、 コンダン　　新牧川(しこ名)にかかる橋

6、 サンダンガク(三ダン角)　広瀬村に向かう道、竜門ダムに向かう道、そして有田町に向かう道の三つからなる三叉路。

7、 ヤマンカミサン　山神社

8、 シンマキカワ(新牧川)　牧溜池から流れて広瀬川に合流する川

9、 ビョウブイワ(屏風岩)　山腹にむき出しになっている巨大な岩塊

10、             イワンシタ(岩ン下)　屏風岩の真下になる場所

11、             シンツツミ(新堤)　牧溜池

12、             ナガレカワサンズン　西有田浄水場の近くの広瀬川の深さが一際深くなった場所

 

・昔の村の慣行・習慣

1、 水車小屋･･･製陶の盛んなこの村では、昔石を砕き、土にするために水車小屋があった。今では、土屋が陶芸用の土を送ってくれるため、今では使用されていない。

2、 町の由来･･･大山村と曲川村が合わさって西有田村になる。(s,33)そののち、昭和40年に町となる。

3、 陶芸所･･･一番古い陶芸所は、大山会社で、そののち市川製陶と名を変える。現在は6代目である。

4、 地理･･･広瀬山にも共有田はあった。

　　　　　越岳という休火山がある。

　　　　　集中豪雨の時に竜門ダム付近に幻の滝ができる。

　　　　　竜門ダムがいまある、かつての竜門山は霊山と呼ばれていた。

　　　　　青磁が山神社の裏から出る。かつて、佐賀県最大の、モ左右衛門の窯があったためである。

　　　　　　ガラスの原料となる岩、真珠岩が竜門ダム近郊から出てくる。

5、 祭り･･･氏神さまはヤマンカミサンという神で11月15日に収穫祭として祭りが行われた。そのさい共有田のお米が炊きだされ振舞われた。また、6月の田植えが終わるとサナボイという祭りが行われた。

6、 遊び･･･青年団が存在し、何かと理由をつけては、日会というお楽しみ会を行った。

7、 子供･･･まん丸なムクロを取ってビー玉のようにして遊んだ。水汲みは子供の仕事だった。

8、 その他･･･町を分ける班で、四班は浦方組、五班は中組、そして六班は下方組と呼ばれたが、分け方は共有田の担当によった。

 

・薪はタキモン、タキギとりは、タキモン取りといった。

・家と家の間のことをシュウジという。

・右に曲がることをシイク、左に曲がることをヒンマガルという。

・自宅をエンチという。また道路のことを往還という。

・八幡宮のところに巨大な松が存在したが、道路造成の時に切る必要があるということになり、多くの村人が反対したが結局切られた。

 

〈一日の行動記録〉

　僕たち二名は、11時15分ころにバスから降り、西有田町役場についた。そののち、約6キロメートルの道を歩いて、広瀬橋を越え、広瀬山に入った。そして市川さんのお宅にお邪魔したのは、12時ころとなった。

　市川さんは急に押し掛けてきた僕たちに対し、とても親切で昼食をご馳走してくれた。折り悪く、村の古老は皆出払っていていないということなので、市川さん自身が奥さんと一緒にしこ名と、昔の村の姿について教えてくれた。そして、一通り話が終わるのが2時45分頃だった。

　そののち、市川さんが、僕たち二人を車に乗せ、教えていただいたしこ名の場所を案内してくれた。市川さんの家を出て一番最初に左手の方に見えたのが、コンダンと呼ばれる橋だったが、何の変哲もない橋でどうしてそういった名が付けられたのか、不思議に思ったが、市川さんたちにも、由来はわからないということだった。

　山神社、扇岩、モ左右衛門の窯跡地、そして新牧川に沿って、少し北上した後、またもと来た道を引き返し途中、金輪神社を見て、三段角と呼ばれる三叉路を竜門ダムの方に曲がった。

　竜門ダムに向かう途中、昔子供たちが泳いでいたという、フタツガワサンズイというところを見た。広瀬川で特に深くなっているところでもともと広瀬川は深緑の、きれいな川だったが、この部分は、特に色が濃いように思えた。

　さらに、二つ石と呼ばれる田圃を見たが、名前の通り田圃の中に巨大な岩が二つあった。それにしても片一方の大きさは尋常ではなく、岩の張り付くようにして田圃が存在しているような印象さえ受けた。

　二つ石を通り過ぎたあと、次に竜門ダムに向かった。付近に綺麗な水が出るということで、ペットボトルを抱えている人に何人も出会った。その後、集中豪雨のあとには滝ができることから、幻の滝と呼ばれる、場所を見た。

　このとき、3時半くらいだったが、市川さんのご好意で、有田町にまで連れて行ってもらった。その途中、西有田町と有田の境で、今は道路も舗装され、車で有田に向かうことができるが、昔この道の険しさは大変なもので、特に有田から西有田に泉山でとれた陶芸用の土を運ぶときの難儀さといったら無かった、という話を市川さんはしてくれた。

　有田町を案内してもらった後、気づいたら3時50分くらいでバスの時間が近づいており、市川さんから、また送ってもらうことになる。お世話になりっぱなしだったのに、そのうえお土産として、市川さん自身が焼いたという素敵な湯呑まで頂いてしまった。

　結局市川さんのおかげで、無事４時15分ころに調査は終了する。