佐賀県唐津市鎮西町打上
1AG96202 古田良幸
話者:坂本イツコ(昭和7年生まれ) しこ名一覧
○村の水利 ・水田に引いている水は、丸渕溜と丸野から引水されている。水を使う人はその水田の反当あたりでお金を支払って使う。その用水は早田と共有していて同じく反当あたりでお金を払う。それぞれの溜には管理人がいて水の量を管理している。 ・1994年(平成6年)の大旱魃のときには丸渕溜と丸野溜の水がなくなり、その上流の菖蒲溜(筒江溜)から水を買ったそうだ。二十数年前の旱魃のときは稲が枯れてしまい、米の収穫ができず、佐賀平野の方(坂本さんは神崎)へ米を買いに行ったそうだ。
○村の耕地 ・この中通で米がよくとれる所はカキウチと呼ばれている所で、丸野溜のあたり一帯である。カキウチは水はけが良い。逆にあまりとれない所は木生場と呼ばれている所で打上中学校から北の方一帯である。キションコウバはイデカガリ(水が出てくる場所)と呼ばれ、水はけが悪い。カキウチとキションコウバでの収穫量の差は1俵弱くらいである。 ・村民はそれぞれ山の土地を所有しており、そこから薪をとって生活をしていた。荒地から草をとり、牛の餌や糞と合わせて肥料にしていた。
○村の道 ・丸野坂という坂がある。そこはキションコウバとカキウチに挟まれている。坂で中平の方から打上中学校の方へ登っていく感じになっている。この坂は昔、殿様がこの坂を通って昔の学校があった打上中学校の所に通っていたということらしい。
○村の過去 ・五十年前の米以外の現金収入は、そば粉、薪(生木(まてぎ))、野菜、麦、栗、柿、桃などであり、当時栄えていた港町の呼子に売りに行っていた。坂本さんはとくに薪での収入がよかったそうだ。
話によると米の収穫量は、化学肥料をやっている今より、昔の方が多かったとのこと。今は1反7俵だが昔は12俵もとれていたらしい。 この辺りでは慣習として、11日様、15日様、猿彦様(こうしんさま)、地九様(じごろさま)という神様を祀る祭りが行われている。11日様は女の神様で、毎年正月、五月、九月に祭り、15日は正月十五日、渕山と丸野だけでする。猿彦様は牛の神様で地九様と同じ正月、五月、九月に祀る。 中通の人はハゲンサコと中通のことを言っていたらしい。 |