【東松浦郡相知町猿尾、庵の谷】

東松浦郡相知町猿尾、庵の谷　現地調査レポート

 

1LA97006　芦刈　知子

1LA97056　王丸　依子

 

話者：原　敏さん（昭和２年生）

原　邦男さん（昭和３年生）

馬場�ｱ　俊一さん（昭和23年生）

原　真三郎さん（昭和10年生）

 

＊相知町　猿尾　サンノオ（猿ノ尾）

ワタシグチ（渡シ口）

ハゼンタニ

フネンカグラ

庵の谷　アンニタニ（庵ノ谷）

イワモト（岩本）

ムタコバ（牟田木場）

 

使用している用水の名前…平山川、ハゼンタニのため池

昔の配水の慣行・約束事…水不足ではあったが水争いはない。

取水の取り決めも特になし。

庵の谷の方は水には困らないが、猿の尾は水が少なかった。

平山川沿いのたくさんの村と共有。

水を取る方向は下図の矢印のとおり。

　（図アリ省略　原本は佐賀県立図書館所蔵）

 

＊1994年の水不足について

　当時はまだダムが出来ておらず、井戸水で生活していた。そのため、降水量が減るとすぐに水が使えなくなった。

１．生活用水について

　水路がなかったので水を取る方法がなく、毎日役場からトラックのタンクで運んできた。

２．農業用水について

　こちらも今のような水路はなかったので、平山川の水をポンプで汲み上げて使用した。

 

　平成５年、庵の谷の上の滝を堰き止めてダムを建設。とても小さいダムだとのこと。

　平成７年に、そのダムをもとに水道が通った。今はもう水に苦労することはない。

　水田用の水路も、つい最近（去年か一昨年）完備された。平山川をコンクリートで整え、きれいな水路が造られた。今では村中どこにいても水の流れる音が聞こえ（台風の翌日だったせいもあるだろうけど）、こんな所で水不足が起こるなどとは思いもしないような状態である。

 

＊夫婦滝について

　庵の谷の上の方に登って行くと、「庵の谷の滝」と呼ばれる滝がある。２つに分かれていて、それぞれ「おだき」「めだき」２つ合わせて「夫婦滝」と呼ばれている。貴重な水源として役立っているが、本当は観光名所として村おこしに役立てたいと人々は考えているが、重大な問題がある。その問題とは、この滝にはあまり水がないということだ。「おだき」には普段は水が流れているが、雨が降らない時には水が枯れる。一方「めだき」は普段から水がなく、よほどの雨が降らないと水が流れているのは見られない。これでは観光客は呼べないと、村の人は悲しんでいた。

 

＊名木について

　「ハゼンタニのため池」の近くにハゼの大木があり、「ハゼンタニの大木」と呼ばれている。

　また、平山小学校にもカエデの大木があり、どちらも名木として村の人々に親しまれている。

 

＊屋号について

　猿尾、庵の谷にはたくさん「原さん」がいた。しかし、屋号のついた家は意外と少なく、２軒だけだった。

原　敏さん宅　　→　ターバル（田原）

原　大志さん宅　→　ハシグチ

　原敏さんの家は田んぼの中にあり、その付近は地名としてもターバルと呼ばれていた。

　原大志さん宅はなぜハシグチなのか聞くことはできなかったが、おそらく近くに橋があったのだろう。

 

＊祭りについて

　この村には神社があり、祭りも「お天神さま」にちなんだものが多かった。

・中組（猿尾、庵の谷、岩本の総称）として

春―お花見

盆―夏祭り

彼岸―おこもり

　春のお花見は公民館で行われる。

　夏祭りは、昔は「天神さま」に集まって行われていたけれど、今年からは寺の下のところに新しく建設された「活性化センター」で行われる予定だそうだ。

　秋のおこもりは、彼岸の中日に「天神さま」で行われる。以前は「フリュウ」と呼ばれる太皷の演奏が行われていたが、過疎化のため若い人たちが減っているので人手がなくなり、現在ではただの飲み会と化している。

・地区毎に―

　中組としての集いの他に、地区ごとに行われる祭祀もある。

春―お花見

秋―ひがん祭り

　今では、お祭りといった感覚は少々薄れ、村の人たちは事あるごとに集まって親睦を深め、日頃の疲れを癒している。