【北波多村芳谷】 歴史と異文化理解A 現地調査レポート 1LT97032 大淵 貴之 1ED97028 杉本 啓 1ED97032 中尾 大樹
話者:山田 キクエさん(昭和5年生)
T.調査の目的 昔の村の生活に実際に触れることで、日頃私達と関わることのない別の文化について考えると同時に、私達自身の文化(生活)を振り返ってみたい。行政の都合で姿を消しつつある土地の通称地名は、水田に関してその歴史(牛馬耕の歴史)資料としてかなり有効である。他にも資料として有効な水利慣行等を調査し、後世へ残すことも重要な目的としたい。
U.行動記録 7月12日(土) 10:00 第1回トイレ休憩(お魚村)にて下車 ↓ 徒歩移動 にじのまつばら駅 ↓ 電車移動 10:40 唐津駅到着 11:10 レンタサイクル(自転車)移動 12:00 北波多村(芳谷)到着 ↓ [ 調査 ] 14:30 北波多村出発 ↓ 自転車移動 15:20 唐津駅到着 15:40 唐津市立近代図書館 [ 補足資料調査 ] 17:00 唐津駅出発 ↓ 電車移動 地下鉄大濠駅到着、解散
V.調査とその報告 私達はまず小字では笹の平と内野という所の間ぐらいに住んでいる山田キクエさんを訪ねた。その家は村営住宅といういろいろな家が集まったところであったが、山に囲まれ周囲に田がある様子はなかった。 〜山田さんの話によると〜 ・この辺(内野・笹の平)の芳谷地区は昔から炭田があった所で田はない。 ・昔は、今ある岸山工業団地の所が耕地だったらしい。「ハッタダ」と呼ばれていた。 ・しこ名、水路などは分からない。 ・この辺りでは江戸時代から石炭が取れ、「ドウメギ」などで取れていた。今でもボタ山が残っている。 ・今から30〜40年前ぐらいに閉山。今はさびれている。 ・法安寺(近くにある寺)も割合新しい寺で、この辺はおそらく明治ぐらいから開けてきた。
〜山田さんの話からの考察〜 ・「ハッタダ」は小字図に載っている「八反田」のことと思われる。場所もちょうど岸山工業団地の辺り。しかしその辺りは私達の担当場所ではないので、他の人が調査しているだろう。調査した内野・笹の平などは山に囲まれ、おそらく昔から田があったという形跡はない。また「ハッタダ(八反田)」という地名がついたのは、(これは私達の勝手な考察だが)条理の制が施行された頃のことではないだろうか。 ・笹の平の法安寺に行ってみた。住職によると、この寺は大正年間に造られた寺で、この芳谷が開けてきたのは明治ぐらいからだという。(期待していた古くからの檀家のことは聞けず。) ・「ドウメギ」はおそらく小字図の「トヲノキ」のことではないかと思われる。行ってみると、岩肌の削り取られたボタ山が残っていた。また、このボタ山は帰り道の小字名「小加倉」のところにも見られた。
以上によって、私達の担当した芳谷の南側(内野・笹の平)地区は、明治以降に開けた炭田地区で、昔から伝わる田のしこ名等を調査するには適当でなかったと思われる。 また、もう一つの担当小字名「寺の谷」の辺りは比較的新しい家ばかりで、3軒回って高齢者の家を教えてもらったがそこの家は留守で、雨足も強まり時間もなくなってきたので引き返した。 しこ名等が調べられなかったため、レポートは形式通りになりませんでした。すみませんでした。
W.感想 事前調査の段階で水田の存在がかなり疑わしかったのだが、実際炭田地帯であったのを知った時は驚いたし、もう少し事前調査を徹底すべきであったと思った。正直なところ、普段の私達の生活と異なった文化を感じることはできなかった。これには土地が新興住宅地であり、新しく人が入ったからということが挙げられる。 少し言い訳くさいが、調査結果の一部として書いておきたい。古くからの水田地帯の調査もしてみたかった。(大淵貴之)
佐賀といえば吉野ヶ里遺跡にしか行ったことはなく、今回の調査は異境に放り出されるという感覚だった。が、人家もまばらな道を歩き、貸し自転車を漕いで調査対象の村を訪ねたことは、良い経験となった。緑の多い村から、キャンプ場とは違って人の生活が自然と混じり合っているという印象を受けた。 生憎、調査の結果は上がらなかったが、貴重な体験となったように思える。(中尾大樹)
調査結果のレポートは、全く教授の意図していたものを作ることができなかった。が、これは地形図を見て僕らの調査する場所を聞いた時点で、あらかた予想できていたことである。最後の頼みとして、古くからの檀家を訪ねてみようと思って行った法安寺が、実は出来てから80年の経っていない寺であるということが分かった時はがっかりした。周りに田のない山間の所で田のことはやはり調査できなかった。が、雨の中レンタサイクルに乗って北波多村という知らない場所へ行き話を聞いたことは、異文化理解とまではいかないが良い経験になった。 今度の調査は、目的を達せられる実り多い調査を目指してがんばりたい。(杉本啓) |