【杵島郡白石町伊ヶ代、網代地区】

現地調査レポート

1MD96074 樋口香苗

1MD96068 松田真実

聞き取りしたおじいさんおばあさんの名前と生まれた年

・森フミさん:大正7年生まれ

・山下次男さん:昭和3年生まれ

・溝口ひらゆきさん:昭和12年生まれ

・淵上豊次さん:大正8年生まれ

 

村の名前

伊ヶ代(イガジロ)

しこ名一覧

ソイハシ、六の坪、シンボイ、ゴケンボイ、オジャッサン、ヤシキボイ、ニシミゾ

田畑

小字伊ヶ代五のうちに

ゴケンボイ、シンボイ、オジャッサン

小字伊ヶ代六のうちに

ソイハシ、六の坪

小字伊ヶ代五のうちに

ゴケンボイ、ヤナギボイ

小字伊ヶ代四のうちに

ソイハシ

網代(アジロ)

ニホンヤナギ(二本柳)、シンボイ、ヤナギボイ、シード(水道)、ゴケンボイ

田畑

小字網代三、四のうちに

ニホンヤナギ

小字網代四のうちに

シンボイ

小字網代五のうちに

ヤナギボイ

小字網代三、四のうちに

ゴケンボイ

小字網代一のうちに

シンボイ

 

村の名前

伊ヶ代

網代

用水源

共有している他の村

ナガイケツツミ

ハッシモ(橋下)、スコ(須古)、シロイシ(白石)、

ロッカク(六角) イガジロ(伊ヶ代)、アジロ(網代)、

イマイズミ(今泉)、ニシゴ(西郷)

 

 2年前の大旱魃の時は、水が足りず大変だったそうだ。しかし、時間を決めて、何時から何時まではどこの田に水を入れるというように給水の決まりを作って、それぞれの田に平等に水を入れたので、水争いのようなことはおこらなかった。もっと昔も、水争いがおこったことはあまりないようだ。また、用水だけでなく、部落ごとに井戸をほりポンプでくみあげ、その水を使ったりもしたそうだ。

 余談であるが、話を聞かせていただいた方が、本題よりも熱心に語っていらっしゃったことの中に「かっくんちゃん」の話があった。彼は、佐賀の有名な人で、「かっくんちゃん」という日本酒もあるそうだ。冬でもふんどし一枚で、弦が一本しかない三味線をひいていたそうだ。寝る時は地面にころがって寝、おにぎりはどろにまぶして食べたらしい。有名だったので電車賃もタダだったそうだ。死んだのはおにぎりにまぶしたどろに農薬が入っていたのが原因だった。そして、死ぬ時だけたたみの上に寝たらしい。山下さんによると、「田ん中のことを調べるよか、かっくんちゃんについて調べた方がそりゃーよか資料になるばい。」だそうだ。地元の人にこんなに愛された、埋もれた偉人を調べ再評価するという研究も、いつかやってみたらいい研究になるのかもしれない。

 

行動記録

11:30 バスから降りる。若い女性に今どこにいるかきく。(六角保育園前だった。)伊ヶ代の区長に聞くとよいと言われる。

11:40 農作業をしているおじいさんに聞く。名前と生年月日を聞き忘れる。伊ヶ代まで歩く。区長さんに聞こうと思うが電話がない。人が見当たらないので昼食をとる。

12:15 県道沿いの家にいるおばさんに聞いたが、今泉の人だった。

12:20 県道から外れて伊ヶ代の集落の道を歩く。ゲートボール帰りのおばあさん(森フミさん、大7)に聞く。

12:25 畑仕事をしているおばあさんに聞くが知らないと言われる。2軒先の家の人が詳しいだろうと言われる。

12:30 その家にいくが人がいる気配がない。

12:35 公衆電話を見つけたので伊ヶ代の区長さんに電話をするがでない。生産組合長さんに知らないと言われる。とりあえず、人を探して歩きはじめる。ゲートボールの後、休憩しているおじいさん2人(山下次男、昭3/溝口ひらゆき、昭12)に聞く。1時間ぐらい話をうかがうことができた。しかし、大半は「かっくんちゃん」なる昔の有名な人物の話で、彼の生い立ちについて調べてみるとよいと言われる。お礼を言って、また人を探して歩き始める。

13:35 農作業をしている人にたずねようと思うが、忙しいみたいで相手にしてもらえない。近くの家のおじいさんに聞く。近所で一番の長老らしいが名前を聞き忘れる。

13:55 網代へ戻ることにする。

14:05 戻る途中で伊ヶ代の溝口さん親子(おばあさんは昭6)に話を聞くが、他の人に聞いたしこ名の確認程度しかできなかった。

14:30 途中で休憩をして、ようやく網代の集落に着く。人が見当たらない。小屋の中のおばあさんに聞く。自分の母が知っているだろうとさきに行ってくれたが、知らないと言われたらしい。少し先に見える家の人が詳しいと聞き、行ってみる。

14:40 淵上文吉さん宅に行くが、いませんと言われる。

14:45 公衆電話を見つけて網代の区長さんに聞く。農家じゃないので知りませんと言われる。詳しいと思う人を教わる。教わった溝口ふじおさん宅に電話をするが、伊ヶ代の区長さんが詳しいでしょうと言われる。伊ヶ代の区長さんにまたかけてみるが、出かけていると言われる。

15:00 バスの集合時間(15:40)が近づいてきているのに、網代が全く調べられていない。とにかく人を探すことにして歩く。

15:05 庭掃除をしているおじいさんに聞くと、先ほどの淵上文吉さんと、淵上豊次さんという兄弟が詳しいと聞く。文吉さんは前に訪ねていなかったので、豊次さん宅へ行く。

15:10 家には誰もいない。近くに見える小道をトラクターに乗っている人を見て追いかける。間に合わなかったが、その横の田んぼで農作業をしているおばあさんに聞くことにした。自分のだんなさんが詳しいと聞く。その人はトラクターに乗っていた人で、なんと淵上豊次さん(大8)だった。網代で知っているしこ名を教えていただく。

15:35 バスの集合場所へ戻る。

15:50 バスに無事乗る。

 

<感想>

 人が少なくて大変だったけど、お話をうかがうことができた人々はみな親切で、人のあたたかさに触れることができた。初めの方で尋ねた今泉のおばさんは、また網代へ戻る時に会ったら、「調べられた?」と声をかけてくれたし、最後に尋ねた淵上豊次さんと奥さんは、「佐賀に来たら、うちに泊まりにきなさいよ。」と言っていただいて、とてもうれしかった。

 調べる時間が4時間ぐらいしかなくて、伊ヶ代と網代までの道を歩くのに時間がかかってしまったので、もう少し時間があれば良かったと思った。ゲートボール場にいたおじいさん2人に、佐賀の見所とか、「かっくんちゃん」とかいろいろ教えていただいて、今回の目的以外にも佐賀について知ることができてよかった。



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