【唐津市湊町】

農村・山村を歩いて考える 現地調査レポート

1LA97136 白仁田 正裕

1LA97168 當房 健志

 

話者:開田 政広さん(昭和212月生まれ、70才)

山下 忽一さん(昭和204月生まれ、52

 

1.田畑のあだ名一覧

田畑

小字

あだ名

ツツミ()

ハルキ

シエリ

ムカイカワチ(向かい河内)

テイシ

ナカムタ(中牟田)

ニシゴウ

テランマエ

ムタウエ(牟田上)

ナタヤマ

マチガタ

ミヤゾノ

ハンノカド(春門)

ガッコンマエ

シザカ(志坂)

タカノ

ツジ()

ヤマグチ

マツモト

イツセキ

以上12個のあだ名を採集した。

残りの田畑は小字名で呼ばれることがほとんどらしい。

 

2.その他のあだ名一覧

・山

  小字 ムタウエ(牟田上)の中に…コウショ()ヤマ

・道…ジュウレンミチ

ツジノウシロノミチ

コウショウヤマミチ

クモセミチ

シミズミチ(タニヤマミチ)

タカノミチ

・屋号…ジゾンモト

ミナトヤ

シバタヤマ

ニシグン(西方)

ヒガシグン(東方)

ゴウグラ(郷倉)

・入江、海…ツツミゾ

ミズタニ

ウシロニソ

キタハマ

水路、池、橋に関してはあだ名を採集することができなかった。

※集落名としては

マツモトグミ、ミヤグチグミ、マチガタグミ、ハマガタグミ の4つが主である。

 

3.レポート調査

1223()815分、六本松正門前に集合予定だったが少し遅れてしまい、グループの人たちに迷惑をかけた。なんとかこの失態を取り戻すべく、がんばろうと決意したかも知れない。

1030分頃、目的地の湊町地区に到着。とにかく風が強い。寒い。16時までに事がうまく運ぶだろうかと心配になる。午前中は地区の中を散歩してみる。湊町地区は海岸沿いに位置し漁港もある。立神岩周辺に行くと砂浜が広がっており、サーファー達が大勢集まっていた。この周辺は九州サーフィンの発祥地ということらしい。地区の内部に入り農家の様子を探ると、どこの田んぼも稲収穫が終了し、ビニールハウスでの野菜・果物の栽培が行われていた。特にイチゴを育てているところが多かったようである。

12時頃、湊中学校で昼食をとるが、とにかく寒い。コンビニで買った熱いお茶がすぐに冷めてしまう。グループの他のメンバーはどうしているだろうと心配しながら、これからどう動こうかと話し合った。

1250分頃、中学校を出て、生産組合長をなさっているという山下さんのお宅へ行こうと思ったが、なかなかその家が見つからない。いろいろと村の人たちの話を聞くと、山下さんは生産組合長ではないという。ひょっとしたら地区で改選が行われてしまったのかもしれない。二人ともえらく不安になる。

14時頃、「生産組合長ではないが、山下忽一さんならこの村のことをよく知っている。」という話を聞きそのお宅へ伺うと、今日は総会があってその後寿司屋(真茂寿司というお店)で、地区の人数人と話している最中だそうで、「話を聞くからお寿司屋の方へ来て下さい」との事だった。そこで山下さんと開田さんに会うことができ、村の様子の事をいろいろ聞き出すことができた。

16時頃聞き取りが終了し、迎えのバスに乗る。とにかく疲れた。前回より大変なものだった。

 

4.村の様子

山下さん、開田さんにいろいろとお話を伺うことができた。そのことについて書いておこうと思う。

まずこの地区が半農半漁の町であるということである。この地区は大昔、島と入江の状態から、何らかの地盤隆起で陸地化したことがかつての調査でわかっている。「新海」という小字はこのことが由来らしい。

行政区の名前にも特徴があった。岡、浜という2つの集落は、海からの土砂と川から流れてくる土砂とが合流することで名付けられたということらしい。

海の近くということで堤防もかつて作られていた。3つほど作られたが現在残っているのは1つだけということで、これが防風林の役割もなしているそうだ。

水利について伺うと、この地区では川の水と溜池を利用し共同で農業用水にしているそうだ。溜池はこの地区には多い。アサヅケダメ、ジュウレンダメ、タンガシラダメ、ナゲハマダメ(長葉溜)、カタゴダメ、ホリキリダメ、ナカノダメと点在している。しかし現在ではアサヅケダメを中心として、ポンプ使用で水路に水を流すという手法を取っている。

3年前の渇水では大変だったようである。溜池が乾き切り、ポンプを使っても農村全域に行き渡らず、ウワバ開発から水を買ってやりくりしたそうである。40年前にこの干ばつが起きたら、もっとひどいことになっていただろうと開田さんは話された。

田んぼは海岸線に接しているため、常に塩害の被害(特にマツモト字周辺)に悩まされるそうだ。そこで塩水が上がってくる台風到来前に稲刈りを行うそうだ。



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