【東松浦郡七山村東木浦・坂口】

歴史と異文化理解A 現地調査レポート

1LA97236 藤山 聡

1LA97266 森岡 智

○提供 中島隆雄さん(区長) 昭和22年生まれ

     その妻と母

    岡本東さん 昭和23年生まれ

712()調査

 

<小字>としこ名

<坂口 サカグチ>

  ノグルメ

  ウスギ

  ヒロラン

ヒロオカマ工(広岡前)

カシラマ工(頭前)

  オバナダ(尾鼻田)

 マルオ(丸尾)

<尻追 シリオイ>

シリオイ(尻追)

<山辛 ヤマカラシ

ヤマカラシ(山辛)

<古村 フルムラ>

  コダ(古田)

  ヤチダ(八千田)

  ハルダ (春田)

  テラ(寺)

  ヒラ(平)

  ダイラ(大平)

  ダイロク(大六)

モリノシタ(森の下)

ソナノシタ

<欒坂 ムクロザカ>

  ヒコタ(彦田)

  ホリタ(堀田)

  ヤマゾイ(山沿)

クサキリザコ

<藪田 ヤブタ>

マルクマ(丸熊)

キヤノキ(喜屋の木)  

ナガエリ

<月の口 ツキノクチ>

  センド

カミセンド

<片田 カタダ>

ヨシノタニ

<北向 キタムキ>

ハシガタ

<向塩顔 ムコウシオガ>

キベット

 

1

道はタヌキ道という人1人が通るのがやっとというくらいの山道を使っていたというが、今ではほとんど残っていない。我々が調査に行った中島隆雄さんの家の裏道がその名残であるらしい。現在の道路は戦後、国の補助金で作られたので、かなり早くから道路が綺麗に整備されており、前原町(現在前原市)よりも道路事情はかなり良かったらしい。

 

その他

行事

年に3から4回、集落を上げて、杉の下刈や道づくりを行う。この日には、会社勤めに出ている人(現地では勤め人という)も休みをとり戻ってくる。

名前

東木浦特に古村には中島や吉村と言う苗字の人が多いが、これは別に親戚同士と言うわけではない。なぜ多いかはわからないということだった。

地形と気候

古村地区は砂礫質の地盤であるため、大雨で土砂崩れが起こったらひとたまりもないが、上の柳や博多区のあたりは、ここと土壌が違うので大丈夫らしい。

また、以外にも七山村では冬季には、かなりの積雪がある。特に古村地区は標高300メートル、下の坂口地区(標高200メートル)よりも10から20センチも高く積もる。歩いて登っても15分程度であるのに、こんなにも差があるらしい。七山村では、冬には除雪車で雪を道路の両側に掻きやるが、この両側の雪で道路を走る車も見えなくなるほどらしい。

水利

東木浦地区と古野地区との間には細い川

古村川(現地では特に名前はないらしい)が流れている。昔からここでは、この川から落差式で水を引いている。ただし、この水を使えるのは昔から決められているところのみということだった。ただ、特別困ったときにはお互いに話し合って、他人の所有する用水源からポンプを使って水を引くこともある。

また、これ以外にも、横井戸を掘って水を得ていたが、近年では建設会社にボーリングを依頼し、建井戸を掘るようになった。この地区では45 m掘れば水が湧いてくる上に、井戸の水量が豊富で、1994年の干ばつ時も井戸の中から泡が出てきた程度で、全く影響なかったらしい。というのも、この井戸水は雨水によるものではなく、前年の降雪が地下に浸透、地下水となったのであるからだそうだ。以上のようにして古村・東木浦地区では生活、農業用水を現在まで得ているということだ。

祭祀

東木浦、仁部、西木浦、柳瀬と合同して年に2回、春と秋に祭り行っている。場所は7山小学校近くの白山神社で、春は49(毎年)、秋は勤めに出ている人の関係もあって、 923日頃の都合の良い日を選んで行っている。また、古村には「寺」という地区があるが、これは昔、寺があったことからついた名前である。この寺は現存しないが、1000年以上前からあるという本尊の阿弥陀如来像は、現在佐賀県立博物館に保管されている。この阿弥陀如来像は年に2度、お祭りの時に古村に戻ってくる、この阿弥陀如来像を訪ねて来る人も少なくないという。

感想

区長に電話で前もってアポイントメントをとろうとしたとき、日にちだけしか決まらず、時間と場所は後日こちらへ連絡するという形になり、実際、調査の前日に向こうから電話は頂いたものの、自分が留守で結局当日もお互いに連絡が取れずバスの中でどうしようかと困っていた。

また、 七山村に着いてから区長さんの所に電話をかけたが、区長さんの母親がいらっしゃって本人は仕事に出掛けているということだった。それでもお昼ごろには帰ってこられるだろうと思って、区長さんの家を探し始めた。そして苦労の末やっと区長さんの家がどこかわかった時、後ろから突然、「あんた九大の森岡くんね?」と声がした。その人が区長さんだった。とても嬉しかった。会えたことももちろんであるが、何より自分の名前を覚えてくれていたことが嬉しかった。

それから、区長さんの家に招かれた。順調に聞き取りができ、その上昼食までご馳走になった。きちんと昼食は持ってきていたものの、区長さんが自分のタンナかから取れた自慢のキュウリの味とご飯を味わわせてくださるということなので遠慮なく頂いた。とてもおいしかった。あんまりおいしかったので図々しくもおかわりをしてしまった。

それから区長さんが仕事の続きがあるそうなので、お暇しようと思ったら、区長さんの母親がいろいろムラのことを語ってくれるそうなので、 30分ほどそこにいた。

それから坂口へ行って聞き取り調査という風に順調に済んだのだが、実は最初、東木浦へ向かう時、大学院生のちょっとしたミスで、目的地のすぐ近くまでバスで連れて行ってもらえるはずが、歩いて30分ほど離れたところで降ろされてしまった。しかもそこら山道は少し急なところで、たどり着いた頃には汗だくになっていた。さらにちょうどその時、自分が乗っていたバスに追い越されてとても悲しかった。でもたまには山道を歩いて自然に触れるのもいいだろう。

帰りは歩き疲れて2人ともバスの中でずっと寝ていた。

何はともあれ、今回の七山村の調査は全てが良い体験であったと思う。

以上

 

調査記録

10:30 滝川のガセストア前でバスを下車。東木浦(古村)方向へ歩き出す。

10:40 森の木橋で親切な夫婦に会い、道を教わる。

11:10 古村方面に来たバスに追い抜かれる。

11:20東木浦公民館に到着。ここまで歩いて40分。公民館に中に声をかけてみが、誰もいないようだった。区長さんの家を探し始める。

11:40ウロウロしている所を、区長さんに発見される。

12:00 家に招かれ、調査開始。

12:30 昼食をご馳走になる。

13:00 調査再開

14:00 区長さんが仕事のため家を出る。区長さんの母親と話す。

14:30 区長さんの家を出る。坂口へ。

15:00 坂口着。道で休憩を取っていた方々に調査を開始。

15:15 ジュース(天然育:ちりんご味)をご馳走になる。

15:30 バスがやって来たので、お礼を言ってバスに乗る。調査終了



戻る