【多久市南多久町井上】

農村山村を歩いて考える 現地調査レポート

IEC97113坪西敏典

IEC97260樋川貴之

@しこな(井上地区)

・村の名前:多久市井上

・話者:中山征人;58才(昭和13年)/中山ケイ77才

・調査者:坪西/樋川

田畑

小字ウチクボ(内久保)の中に

ヤマノカミ

ソウレイバタケ(ソウレイ畑)

ヒエイダ(冷田)

ゴウイダ(斎田)

ミナンゴ(南豪)

小字ヤツエ(八枝)の中に

ナゴラ

ヌゲ

小字モリサブロウ(森三郎)の中に

イケバタケ

コウノイタ

小字ササオ(笹尾)の中に

ナカブラ

イノキゾ

その他

モリサブロウの中を流れる川沿いの昔の馬や洗濯物の洗い場

タンゴウ

ササオの昔有った滝の周辺

シンスケオトシ

用水について

この地域の用水についてたずねたところ、用水について(名前や慣習など)の返答はなかった

 

A教えていただいたこと(井上地区)

 

桶川:あの、もう一つお聞きしたいことが有るんですけど、田で収穫に差が有ったとか、この田はよく取れたとか、この田は取れなかったとか、日当たりが

いいとか悪いとか、そういうのが有ったら教えていただきたいんですけど…。

1)中山征人様・中山ケイ様の話

中山様:下の方はよく取れるばってんね、あとは、日照時間の開題しやけんね。

樋川:ああ、やはり、その影響が大きい……。

中山様:この辺になったらもう取れんもんね。そやから、この辺にあるたんぽぽ、はようとれるもんね。だから、下の田んぼと同じにとるために、上の田んぼは、はやくうえるんよね。

 

・「タンゴウ」について

中山様:まだ、いろいろあるやろうばってん、おもいつかん。

中山様:そこん、川んね、昔、川に洗いに行きよったところを「タンゴウ」って言いよったよ。

中山様:今は水道があるけれどもね。

中山様:タンゴウって言うけんども(ママ)おれどうもよくわからんとよね。

(中略)

中山様:洗い湯に行きよんがとこを(ママ)タンゴウっていうっと。洗い揚のこと。タンゴウ。馬洗ったり、洗濯もん洗ったり、今は水道があるけんども(ママ)

 

・戦前戦後の肥料の移り変わりについて

細川:あと、戦後化学肥料が入ってきたと思いますが、それが入ってからの収穫の影響とかもお聞きしたいんですけども。戦前のものと戦後のものと違いは、どのようにかわったんですかね。

中山様:おれどーも、戦前のことはぜんぜん分がらんよ、まだ50代やけんがさ……。

楢川:あ、じやあ、戦前は何を肥料に使われてたんでしょうか。そうですね、例えば灰とか。

中山様:私たちのちいさかときは、草ばはろうたば(ママ)、肥料に田んぼにいれよんしやった。いまは化学肥料ばっかりやけんどしゃ(ママ)。あと、昔は家畜ば飼いよんしゃったからね、そういう馬のふんやらそんなんねえ。

中山様:もう20年代からは化学肥料やったもんね。

 

・村の共有山林について

樋川:あと、村のそういう共有の山林って有りましたか。

中山様:あー、うちん部落は共有山林ばっか。ほとんど共有。ここから見渡しちゃあ、生産森林組合をそっちの平原(ヒラバル)の方とね、駄道(ダミチ)の方とね、天瀬(アマガセ)のかたとね60戸ばっかしでね、でもねも組合に入る人自体が減ってもう、30戸くらいになったね。

 

・燃料について

樋川:あと燃料はやっぱり薪とか……。

中山様:そうそう薪じゃったけど。

樋川:それはどこから仕人れたりしてたんでしょう。

中山様:いやいや自分で取ってくっとよ。自分で作って、炭窯で焼いて、今壊れとうけど。

 

・昔の現金収入について

樋川:あと昔の現金収入はいったいどんなものがありましたかね。

中山様:うん、そりゃあねえ、林業で言えば木炭焼いたり、うん、杉、やっぱり材木関係が多かったね。年間木炭生産してね、そこん五杭ん炭坑に、あったけんね、峠向こうに。

炭坑が

(中略)

中山様:木炭とかね、野菜とかね、鉱員さんがいっばいおらっしゃったけんね。売りに行きよった。

 

・今後の村の変わり方について

樋川:あと今後の村の変わり方とか、どうだったんですかね、昔からどのように最近変わってきたんですかね。

中山様:機械化?

中山様:生産面では、そがん山林の仕事とかいろいろ野菜作ってしよったのが、こんだ、果樹に代わった。

樋川:はい、果樹、みかん。

中山様:木炭やいてしよったりしたのが、みかんにかわった。木炭売れんごとなったからね。

 

・村のこれからについて

樋川:これからどのように移り変わっていくと思われますか。

中山様:そりゃ、日本の経済のどうなるかじゃわね。今年んごと……。

樋川:いやその、こちらのほうにも今後変化が有ると思うんですけども、それについて、少しお尋ねしたいと思いまして。

中山様:もう、農業も国際的になったけんが。

樋川:ああ、やっぱり外国産が強いとかそういう影響がやっぱり出始めてる……。

中山様:うん、シイタケも作っとったばってんね、もう、中国産とか韓国産とかに押されて、もう、採算あわんもんね。

中山様:労働の割にはね。

中山様:中国産とかにおさるるけん、もうやめた。米も去年もあまり気味やしね。

 

住所

・多久市南多久町大字長尾289番地 中山征人様

・多久市南多久町大字長尾276番地 中山ケイ様

     

・村の長老:中山袈裟雄様(井上地区に行けば知らない人はいない。)

 

 

B一日の行動

7:00 レンタカーを借りる。

7:30 出発。

8:30 佐賀のコンビニに立ちより最終確認。

9:10 再出発。

9:50井上到着。

9:5010:55中出征人様に話を聞く。

10:5012:00村の長老、中山袈裟雄様を探す。

12:0013:00 見つからないので昼食。

13:0013:30 他の人に紹介してもらった中山ケイ様に話を聞く。

13:4015:15 井上を離れ中野に移動。

 しかし、集落(この集落は2軒しかない)に人の住んでいる気配なし。

人を探すが見当たらず断念。

15:15 車で走っている途中、瓦河内という地図に載っていない所を教えてもらおうかと何人かの農家の方に聞くが誰も分からず、仕方がないので帰宅の途につく。



戻る