【神埼郡脊振村牟田石・中屋敷】 歴史と異文化理解A 佐賀現地調査レポート ST-16 1TE96872 岩本泰典 同 1TE96880 川崎泰明 聞いた人の名前 牟田石 服巻テルヨさん 生年月日は教えてもらえなかったが70歳ぐらい 淵の上 吉田ハツチヨさん 大正11年4月
しこ名一覧 ○牟田石 <田> イッタンジマチ イッタンジサンシ イッタンジゴセ イッタンジナナセ(2反ある) イッタンヤセ イッタンジトウサンダ <山> フネイシ ハゲタンヤマ <竹林> ウランタイ アクセントの位置はよく分からなかった。 ※田へ行くことを「やまさ行く」というらしい。 ○中屋敷 <田> 淵の上の前 中屋敷の前 キビネ ニタンガク アラセ <地域> クボヤマ(しこ名?)
当日の行動 8時15分 六本松正門前集合 9時前出発 11時ごろ中屋敷バス停前到着
中屋敷バス停到着後、まず現在地を地図で確認した。 牟田石、中屋敷両方合わせて家が4軒しかなく少し不安だった。牟田石橋を渡り林道をずっと歩いて行った。途中ビニールハウスがあったので、人がいるかどうか探してみたが無駄だった。 さらに林道を進んでいくと地図で確認した通り民家が2軒あった。しかし名字が一緒であったのでおそらく親戚であると思った。それに車があったので家にいることを確信し少し安心。家に入ろうとすると犬にずっと吠えられて、家の人が出てきた。家の人に僕たちが田んぼのしこ名などを調査してることを話すと、家の外に広がっていた田んぼを見下ろしながら話をしてくれた。先生が渡してくれたマニュアルには、しこ名というものが理解されにくいと書いてあったので少し不安であったが、しこ名と言うとすぐ分かってもらえた。 ・田んぼ 悪田(1反につき4俵ぐらい) 棚田型 ・水……用水路は存在せず「出水」を使用 ・裏作……ピーマン(去年) 牟田石の一部 田んぼが悪田なのは水に関係があるらしい。出水は冷たいため、稲の育ちが悪いらしい。それに棚田のため水が入らない田んぼもあり、水を自分たちで汲んで入れていたが、とても不便なので畑に代えて水はポンプで汲み上げている田もあった。 日照りの時はどうしたのかと尋ねたが、水は出水のため水不足はなかったので村で水争いはなかったと言っていた。焼畑もないと言っていた。村の範囲や目印なども尋ねてみたがよく分からないということだった。田んぼは耕地整理が行われておらず、曲がりくねっていたが、田植えは機械でするということだった。 その後、丁寧にお礼をして最初に来た道を戻っていった。しかしその時に不便なことは何かを聞いておけばよかったと思った。それに日々何をして生活をしているのだろうと疑問に思った。 昼食後再び中屋敷に戻ってくる。 12時前、昼飯時に訪ねるのはどうかと思い、 30分ほど道路で大の字になって寝る。端から見たらただの変な人だと思うが、暑かったので素足。 中屋敷に2軒ある一番ヶ瀬さんを訪ねるが留守のまま。内心焦るが仕方がないので道路沿いに進む。 伊福の水田商店に出て休憩。ここのおばあちゃんに聞いてみたら、しこ名などは分からないが石松さんを訪ねてみたらと言われる。あと中屋敷から来たというと、2軒あるでしょと言われ、牟田石にはあそこに2軒あるとか、奥に何軒あるのか完璧に把握していてびっくりする。あと水利等を聞いてみると快く応えてくれた。 ・水利→下記を利用 出水 井戸 川の水を汲み上げる ・水不足 →なかった ・水争い →存在しなかった ・特徴 出水は冷たく水口あがり(水が湧き出てくるところ)は農作物の育ちは悪い。外は水が温まっているのでよく育つ。 *吉田ハツチヨさん談 水口あがりは育ちが悪いが勉強家の〇〇さんのところは、朝堰で水を止め温めてから田んぼへ放水したり夕方も同じようなことをしたりして、米の収穫を1反につき7俵から10俵にあげたようだ。 13時30分 石松さんを訪ねてみるが留守であった。そこで近くの家を訪ねてみることにし、畑仕事をしていた吉田さんをゲット。私は頭良くないけれどと謙遜していた、が嬉しそうに語ってくれた。 しこ名と言うとすぐに分かってくれて、やっぱり頭が良くないから覚えてないけれどと言いながらも中屋敷のほうのことも話してくれた。結構雑談も入り井戸端会議のような感じであった。 ・冬は寒く雪が降る。 ・お祭りなどは一緒になって楽しむ中屋敷 ・田んぼ→良田 最大1反あたり10俵 ・焼畑→なし ・娘さんの話→省略 ・水利→出水 前項参照 ・村の範囲→久保山一辺で連帯感がある。 14:30 再び水田商店に戻る。 近くの神社で山開きをしているから行ってみたらそうめんが食べられるよと教えてもらうが、我々は行かなかった。近くの川でアイスクリーム食べながらバスを待った。 15時30分頃 バス到着
全体の感想 図書館の地図のコピーを見て、おい、なんで4軒しか家ないねん。しかも牟田石と中屋敷ともに2軒ずつ。名字一緒やから実質2軒やろ。電話番号載ってへんかったしおれへんかったらどないしよう、といった不安を持ちながらの佐賀行きであった。 調査が終わってからの感想としては、みんな親切なんで良かったしはじめてこういった聴き取り取材みたいなことをしたので良い経験をしたなということである。あと久しぶりにハイキング気分を満喫できて気持ちよかった。 現地の人たちも曖昧になっているしこ名を記憶することは重要なことだろう。現地の人から直接話を伺ってその思いは強まった。「えっと、……と忘れた」といった返答にはやっぱり残念だったし、訪れたところがほとんど人のいないところだったので、この人たちがいなくなったらこの場所のしこ名は忘れ去られてしまうのだろうか。なんとかしなくてはいけないだろうと思った。 by川崎泰明 まさかとは思ったが予想通りだった。民家もほとんどなく森林がずっと続いていた。しかしとても気持ちが良かった。カッコウの鳴き声やウグイスの秋声も聞こえてきた。川の水はとても冷たくて気持ちよかった。なかなかこんな体験はできるものではないと思った。村の人もとても僕たちに優しくしてくれたので、とても調査が捗った。しかし男2人で歩いているのもむなしい。今度来る時は女の子と一緒にきたい。岩本泰典
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