現地調査レポート/佐賀市鍋島町/岸川

<調査者>

秋吉望

河底大介

 

 佐賀市鍋島町岸川城野逸秀さんは不都合のため自治会長の秋山林敬さん(63)と田中豊(64)に協力していただきました。

 

1.しこ名

・七ヶ瀬           ・フジコンゲン

・ジャードー         ・ガワ

・ヤツノウー         ・イボテンジン

・ウサブ           ・ジゾウガク

・ジョウーゲ         ・ジュウサン

・キュウワン         ・テイジンメ

・ビュー           ・渡瀬

・シモヅッ          ・サンノガワ

・ジョーロク

 

 

2.水利

<名前>

・キュウワン水道 (現在 アサガオ船と呼ばれている)

・マルボイ水道 (ジョーゲにあった)

 

国営水路・・・周囲の村と共有。昔は嘉瀬川から引いていた。

 

<水利慣行>

特別な水利慣行は存在しなかった。しかし北と南では水争いが絶えなかった。

「ここ(北)は水口であるから、した(南)の村に水を分ける側にあった」と教えていただいた。

 3年前の水不足でも争ったし、昨年も水不足で争いが絶えなかったという。現在は話し合いにより解決しているが、再び起こる可能性もあるだろう。それに備えて個人で水汲みポンプを購入しているという。「30年目に一昨年の旱魃が起こっていたら田は全滅していただろう」とおっしゃった。

 

 

3.村の姿

 

・村の昔の姿

 米の取れる量には差があって堤防側は少なかった。一反の収穫量はよくても6俵、悪いときは0だったという。農薬などはなくて、人糞、硫酸、カリ、イワシ(リン酸を含む)を肥料として使用。肥溜めを共有して持っている。(現在は使われていない)一年に一度水路などのゴミ上げをしていた。それも堆肥にしていた。

 

・村の現在

 昔は何事も集団で行っていたが、今では自己中心的になり、近所との馴染みがうすくなってきた。若い人々は自分の言い分ばかり言うので共同作業が出来なくなった。さらに階級制がなくなり、長(権力者)がいなくなった。小川さらいなどを率先してやるひとがいなくなった。

 

・日本農業の将来

(この話になるとお二人の顔つきが険しくなったのが今回非常に印象に残っている)

 米の急落が予想され、非常に厳しい。さらに韓国や中国、台湾の台頭でさらに圧迫されるだろう。「今後は大企業が請負を頼んで組織化され、農家が社員となって給料をもらうようになるかもしれん」ともおっしゃった。二人が口をそろえて言うのは「他産業との差が開くばかりで個人ではもうやってられないし、新しく農業をやる人は減る一方だろう」とのことだ。さらに「現状維持が精一杯だ。後継者はいないし、自分の代で終わりだ」とその深刻さが伺える話だった。

 二人の話をまとめると、日本の農業はかなり困難なところまできていることが分かった。



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