【佐賀郡諸富町大堂、山津地区】

月・1限 「歩き、み、ふれる歴史学」

S1−31 1AG96239■ 安武 大輔

S1−13 1AG96250■ 山崎 雅宣

 7月13日、この日はかなり良い天気で暑い日でした。まず僕らは、バスを降りて大堂のしこ名を調べに行きました。視界に入るほとんどの家へ訪ねたが、どの家も「もう昔の人はみんな死んでしまったもんね」「ちょっと昔の事は覚えていない」という答えばかりでした。ある家の人のすすめで区長さんの家を教えてくれたので訪ねたが、区長さんの答えも他と同じでした。この時点ですでに約1時間近くたっていたがあきらめるわけにはいかなかったので大堂の奥へ奥へと訪ねまわりました。

 しばらく家がとぎれ歩いているうちにあることに気がつきました。ここは田んぼがたくさんあるために川や用水路が非常にたくさんあるけれど、なんと空きカンや空きビンが1つもそこには捨てられていませんでした。福岡では、僕の家もかなり田舎の方にあるけど、道や川のあちこちにゴミが捨てられています。本来は、そのような所にゴミがない方があたり前のことだけど、なにかここの住人の人間性というかすばらしいものが感じられました。心があたたまるような感じでした。

 こうして、大堂の風景を楽しんでいるうちに、目の前に一つの寺が見えてきました。それは「教楽寺」という名の寺でした。お寺なら何か昔からの書物や資料があるのではないかと思い、訪ねてみることにしました。玄関へ行くと、女性の方がいらっしゃって、寺の和尚さんを呼んで下さいました。この日はかなり暑く時間も1時間半をすぎていたので、ここらへんでしこ名を聞きたかったけれど、残念ながら和尚さんもしこ名は分からないということでした。少し話からそれるが、話しをしているうちにこの和尚さんは九州大学の文学部を出たということが分かりました。そんなふうに和尚さんと少し世間話をして、この辺りにくわしい人の杉馬場さんという方を紹介してもらいました。しかし杉馬場さんの家のおじいさんは留守にしていてまたもや、しこ名はわかりませんでした。しかたがないのでそこのおばあさんに小寺さんという方を紹介してもらいました。こうして、小寺さん宅を訪ねるため、さらに大堂の奥へ奥へと行きました。小寺さんの家に行くと、小寺さんは昼食中でしたが、快く僕達の質問に答えてくれました。そこでも残念ながら、小字の「五本松」、「郷倉」、「天神」のみで、しこ名はわかりませんでしたけど、色々話を聞かせてもらいました。その中に、昔、橋は平民用と、お殿様用の2種類あり、それぞれを、「土橋」「石橋」といったものがありました。他に「大堂」は「ウードウ」と呼ぶことも教えてくれました。茶がしも出してもらい、約2時間近く歩いた僕らにとってそれは心あたたまるものでした。結局、しこ名は一つも分からなかったけど、時間の関係で次の村へ行くことにしました。

 次に山津の方へ行きました。ここは大堂とは違って家が集中していたので、移動も少なく、時間も比較的短くすみました。

 最初に訪問した家では全然知らないということでした。しかし、しこ名にくわしい人として、南里さんという方を紹介してくれました。そこで南里さん宅に向かったのですが、留守だったので、その周りの家の人に聞きに行きました。そこでも全く知らないということで、また大堂の二の舞かなと思っていたところ、ある家の人が区画整備の担当だった山口さん(ちなみに最初に訪問した家も山口さんだった。どうやらこの辺りは山口という名字の家が多いみたい。)が、整備前の地図をもっていて、それにしこ名が書いてあるらしいとの情報を教えてくれました。さっそくその山口さんの家に行くと、山口さんがジュースまでだしてくださって、いろいろとお話をしてくださりました。実際のところ区画整備前の地図はありませんでしたが、山口さん本人が一つ一つ教えてくれました。でも、それでも10個に満たなかったので、山口さんは、裏の家の生産組合長さんの家を紹介してくださいました。それから、その生産組合長さんの家に向かっていると、家から一台の車が出ていきました。2人で「まさかねぇ〜」なんて言いながら訪ねてみたところ、案の定、ちょうど今家を出たところ(つまりさっきの車)だといわれました。その家で、またも南里さんを紹介されたので、もう一度行ってみることにしました。そうしたら、今度は家にいらっしゃって、そこで残り空いていた田んぼのうち、わかるところをすべて教えてもらいました。

 それから、終わってバスの乗り場に向かっている途中に、後ろからおいかけてきて、親切に「役場に行けばわかるよ。今日(土曜日)は休みだから月曜に行ってみて。」と教えてくれた人(多分途中訪問して「知らない」とおっしゃった家の方の内の1人だと思いますが、名前までは憶えていません。すみません。)もいました。

 これもそうなのですが、あちらの方々は、僕等に対して非常に親切でした。おかげで聞きこみの方もスムーズに行えたと思います。

 

 今回こうやって佐賀に来て田んぼのしこ名を聞いていきましたが、僕等が一番感じたのは、テーマである「あるき、み、ふれる」というのをしっかりと体験したということでした。本当に(!?)何も無い所で自分達の足であるいて、目でみて、そしてあちらの方々といろいろな意味でふれることができたということは、普段できないすばらしい体験だったと思います。



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