【小城郡芦刈町下古賀区】 歩き・み・聞く歴史学レポート 東 昇 話者:古賀輝司さん(大正8年生、元区長・圃場整備監督) 聞き手 東昇 日時1996年12月14日(土)午前11時〜牛前3時30分 1地名46 田2 シンムラのウラテ ビュウ(廟) 川2 サカイガワ(境川、福所江)、 フイエゴ 堀11 東芦刈水道 ウーシイド(大水道) コモシイド タテボリ コメダシドウ カキシードー サキナシ フーブン(風分) ハシオリ(橋折) ウラボイ ショウヤボイ 樋イビ3 ハシオリのイビ(橋折の井樋) ヨシムラのイビ(吉村の井樋) サンジョウビ 橋4 シンニャアバシ(新内橋、新兵衛橋?) テンジンサンバシ(天神さん橋) コムラハシ(小村橋) ハシオリボイハシ(橋折堀橋) 道5 ウーシイドのミチ(大水道の道) ナカミチ コムラのミチ シラヤマのミチ ヨシムラのミチ 集落 シュウジ10 テラマエ(寺前) キタアゲ(北上)の北 キタアグの南 タンナカノカドウチ(田ん中の門内) カドウチ(門内) ヨシムラ(吉村) シラヤマ(白山)の北 シラヤマの南 コムラ(小村)の東 コムラの西 信仰4 ギオンサン(祇園さん) テンジンサン(天神さん) ジャアコクサン(大黒さん) サンヤサン 他村5 新村−ウラボイ 新村−ツッキリガラエ(築切搦)−新村の南東にある堀に囲まれたところ。 舎人−アッカンボイ(悪漢堀)一佐賀の乱関係 西道免−マンブサン(万部さん)一お経を万部埋めたところ 東道免−ナカンシイド(中水道) ・各田ん中のしこ名はそのそばの堀の名称・シュウジの名前で呼ばれる。 ・ビュウは廟でノバカ(野墓)のこと。塚のようになっていて耕作はせず。圃場整理の際に坊さんに拝んでもらい掘ると無数の小さな瓶が出土、流産した子どもの慕か。 2村の集落 ・ジッコグミ(十戸組)=シュウジ 寺前 北上北 北上南 田ん中門内 門内 吉村 白山北 白山南 小村東 小村西 ・ニジツコグミ(二十戸組) 北上北+北上南=北上 寺前+田ん中門内 門内+吉村 白山北+白山南=白山 小村東十小村西=小村 ・吉村の東、境川の向こうも吉村の地、昔河川が蛇行しておりそれを改修した後、川向こうになった。現在もそのときの川跡である三日月湖(フイエゴ)が残っている。 3村の組織 区長−三役−十戸長・十戸総代 ・区長は2年交代、井樋の管理も行う、サンヤマチ等で決まる。 ・道修理はヒヤク(日役?)で行う。 4村の儒仰 ・ギオンサン(祇園さん)−吉村、須賀宮ともいう。鳥居、天井絵あり。改修の際に有志が寄贈、古い物もあり。隣に地蔵堂あり。 ・オトミヤサン(乙宮神杜)−中溝 ・ジャアコクサン(大黒さん〉−田ん中門内、大黒様の石像、東芦刈水道が村に入る所。 ・サンヤサン−門内、馬頭観音の石碑あり、消防倉塵の横。 ・テンジンサン(天神さん)一白山、鳥居あり、 ・上記の順番で各二十戸組が祭りの担当をする。8月25日、11月1日、現在は近い日曜日に同時に行う。 ・祇園さん・天神さんのみ神主さんに拝んでもらう(座る所があるから)。 5村の年齢集団 サンヤサン ・サンヤサン(三夜さん)−男ばかりで毎月23日に行う。同級生を中心に上下一つ違いの者7〜8人を集め会食をする。家を持ち回りでするが忘年会などは佐賀で盛大にする。 毎月積立金を行い年1回旅行をする。その際奥さんを連れていく場合もある。この集団は学校を卒業してから死ぬまで形成される。女性にも存在する場合があるがその揚合年1・ 2回である。 6家の相続 ・長男が相続する、だいたい長男は外に働きに行っていても帰ってくる。 7生活 ・境川の両岸の葦は株といい、すべて下古賀のものであり、他村に売っていた。5年ほどその葦をためて家の屋根をふき替えた。 ・シオコヅエ−田圃の稲の乾燥方法、稲を積み上げたもの、正月過ぎまで乾燥させて籾おとしをする。そのほうが現在の機械乾燥よりおいしかった。 ・カチガラス−佐賀の天然記念物、電信柱に巣を作るカチカチ鳴く鳥。この巣をとって薪にすると、その家が火事になるという。これは年寄りが子どもにたいして、天然記念物の大事な鳥だから勝手に取ってはならないということを暗にさとしたものか。 ・シャガラ(社搦)は明治の大地主広瀬翁が熊本から小作人を連れてきて移住した者、そのあたりも以前は下右賀の地先である。昔はたんぼからいくらと村費を徴収したから多くのたんぼが必要であった。 ・光楽寺(真宗)の住職は蒲生氏、約300年前に出来た寺で、住職は秀吉の九州征伐についてきたという。 ・士族はみんな禅宗の寺、中溝永林寺・宝泉寺・永明寺など。宝泉寺には勤王の志士の墓があり、小学校の頃には参拝していた。平民は真宗である。 ・西戸崎の村はずれの牛津川付近にヒビョウイン(避病院)があった。 ・下古賀はわりと新しく、光楽寺が古い。 ・門内に大地主がおり300町歩持っていた。今の町長の父親である。 |