【杵島郡白石町湯崎小島、久治地区】

中世の村と人々現地調査レポート

SU-27 1AG94051 大平龍子

      1AG94073 川越寛子

      1AG94079 吉川真季

<白石町湯崎小島の江口さんより>

 私達は、白石町湯崎小島の香月幸夫さん宅を、話を聞こうと訪ねましたが、幸夫さんは不在で、幸夫さんの奥様から詳しそうな人を聞き、急遽お隣の江口さんのお宅を訪ねることにしました。

 

@しこ名について

 江口さんは、去年役場を退職された方で、町の地理についてよくわかっている方で大変助かりました。しこ名についてお聞きしましたが、年もお若いし、あまり伝承されていないということでこちらのお宅では、しこ名はわかりませんでした。また、香月さんのお宅でも同じ様なことを言われました。なお、江口さんのお宅では、自分の家を中心に、「みちのきた」などという呼び方をされているそうです。

 

A水利のあり方

 農業用水はどこからひいているのですか?とお聞きすると、通常から船野にある小さな溜池からと、嘉瀬川溜池からひいているとのことです。白石町は有明海との高低の差が2〜3mだそうで、水が滞りやすいので、山の水でながしているが、井樋でせきとめた水を有明海が干潮のときに、水をながすようにしているそうです。井樋は、町ごとにあって、番をする人はそこの近くに住んでいる方がなさるそうです。

 

B去年の対策について

 去年は大変な水不足でしたが、どのような対策をされたのですか?とお聞きすると、江口さんのお宅では、ご自分の田んぼの中で時間給水をしてもらう土地を決めて、自分のうちで食べる分だけのお米を、通常より多く植えるなどして作られたそうです。時間給水の呼び名は、そのまま時間給水でした。

 30年前に同じことが起こっていたら…?とお聞きすると、溜池の水も既にあったので、今とあまり変わりはなかったのでは、とおっしゃいました。

 

C村の範囲について

 村の範囲をお尋ねしたところ、かなり詳細にわかりましたが、次に訪ねた竹下さんのおっしゃるのとは、若干の違いがありました。境界線は提出する地図に示すとおりです。

 

D村の耕地について

 以前は、はっきりとわかれてはいなかったが、湿田と乾田があり、乾田での裏作は小麦だったそうです。とれる田ととれない田では、どれくらい差がありましたか?とお聞きすると、あまり差はなかったということです。

 

 江口さんは、突然うかがったのに本当に親切にしてくださって、白石町は昔、須古という地名で合併して白石町になったという話やおとこじまから転じて小島になったという話など、本当に丁寧に白石町の事を語っていただき、大変興味深い話を江口さんのご厚意によって聞けることができたと思いました。

 

 

<白石町湯崎久治 竹下広二さん(76)・マキそん(74)夫婦より>

 お年を召していらっしゃったので小島よりはお話を伺うことができました。

 

@しこ名について

 「しこ名を教えて下さい。」と尋ねると、家の当りは一町角(100a)ずつ区切って、「いちのかく」「にのかく」という名をつけていたそうです。また、神社の所有する田ん中は「いなさだ」と呼ばれ、その他に「ひのめ」という田ん中もあったそうだ。堀のしこ名について尋ねると、「ごけんぼい(り)(幅が五軒分あったから)」「すわさんぼい(り)」「馬入川(ここで馬を洗っていた)」というしこ名を教えていただいた。

 

A水利のあり方

 「農業用水はどこから引いているのですか。」と尋ねると、昔は「みずぐるま」を足でまわして水を送っていたそうです。これは大変な重労働で嫌で嫌でしょうがなかったそうです。今はポンプで井戸や溜池から引いているそうです。

 

B去年の対策について

 「去年は大変な干ばつでしたが、対策はどのようなものでしたか。」と尋ねると「特に何もしてない。とれるとこはとれたもんねぇ。」とのお返事でした。「30年前に干ばつがあったとしたら、どのような対策でしたか。」と尋ねると、「さぁ、特に何もかわらんじゃろ。」とのお答えでした。

 

C村の範囲

 地図に緑の線で印したとおりで、江口さんと若干の違いがあった。昔の県道が境界だったそうだ。

 

D村の耕地

 「村の水田には乾田と湿田があったと思いますが、とれる田ととれない田ではどれくらい差がありましたか。」と尋ねると、村はほとんど湿田で、良い田では10俵、悪い田では4俵ぐらいとれたそうです。良い田にはランクがあり、杉・谷・松の順に良かったそうです。また、昔は農薬ではなくなたね油をまいて夫婦で蹴って広げていたとおっしゃっていました。肥料としては、家の近くの堀をさらいそのゴミを肥料としていたそうです。

 

お話は竹下広二(76)さん、竹下マキ(74)さんより伺いました。

 古い記憶だから答えられないとおっしゃりながら一生懸命お答え下さった。とても楽しいひとときでした。お話を伺っている際にいただいたシソジュースと酢の物が大変おいしく、また、お土産におばあちゃんお手製のおこしをいただきました。とてもおいしかったです。



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