【神埼郡神埼町井手】

神埼町井手 現地調査レポート

SI14

944711 高瀬 恭弘

944714 天造 秀樹

 

<調査に協力してくれた方々>

江口 久裁さん (区長)

山口 秀敏さん (昭和5年生 65才)

平 常男さん (80才代)

山口 早子さん (大正13年生 70才)

田城 さん

八戸野 操雄さん(大正9年生 75才)

園田 正好さん(昭和2年生 67才)

 

<しこ名一覧>

・オオカン…これは道を示すしこ名。

・ジゾウサン…地蔵がある辺りの田をこう呼ぶ。

・ネキダイ…集落のまわりの田をこう呼ぶ

・カイダ…これはこの辺りの田んぼを持っていた人と偶然出会い知ることが出来た。

(園田正好さんとその場におられた方に聞いた話)

・イデノウチ…この井手の中心にあたる土地をこう呼ぶ。

(山口早子さんと山口秀敏さんに聞いた話)

・フカガワ

・ヨコウチ

・スバル

・サカイボリ

(山口秀敏さんに聞いたしこ名)

 

<しこ名について>

 5〜6人に調査したところ、しこ名ははっきり境界線が決まっているものではないと言われ、ただ、その地区全体(その区域)を表す呼び名であって、つまり各田んぼについている名前ではないと言われた。この人たちはかなりの年輩であったが、しこ名についてはかなりあいまいになっており地区でしか指定できず、しかも井手には区長に聞いたところ17戸しかなく、年輩の人たちの数も少なくなっているので、これ以上正確に調査し各田んぼのしこ名を調べるのは今となっては大変難しいと思われる。さらに引っ越しされたり、井手には住んではいるが持っている田んぼが違う地にあったりすることもその理由である。ある話では、しこ名は土地の名前の下に田ん中とか付ける場合が多いらしい。残念なのは、区長さんが井手のことについてはほとんどご存知なかったことだ。 (※後に補足あり)

 

<水利について>

ヨコウチ川を挟んで井手の南側は、ヨコウチ川から渇水の時も十分なだけの水量が得られた。一方井手ではヒノクマの堤から水をもらっているため、渇水には弱く、渇水になった時は話し合いがうまくいかず争い(水争い)になったことは過去にはなかったと言われた。聞くところによると、井手の北東部(モリダ地区の南)のモリダイカイから渇水の際には引き水をしていたらしい。

圃場整備後井手地区の水の便はだいぶよくなった。井戸を14本掘り、個人でも掘った人がいた。また昨年の渇水の時にはヨコウチ川から一晩だけもらい水をし、一万トンの水をパイプラインで三ヵ所にプールしただけで平年作は米がとれた。昔は平年作は一反当り6糧から6糧半であり、7糧とれた時は満作であった。

圃場整備前には良田はほとんどなく裏作はできなかったが、圃場整備後は湿田ではなくなり裏作ができるようになった。井手地区では淡水灌漑地域ではなく、もっと南の地区で行われていると言われた。現代、渇水だからといって昔の風習などには戻らない。なぜなら圃場整備後地形が変わって昔のようにはいかないためである。

 

<しこ名について 補足>

井手地区には橋はあまりなく、川の上はチャーチ(木を三角形に組んだもの)の上を渡った。

道、家にはしこ名はつかないと言われたが、道にはついていることが後の調査で分かった。

 

<調査後の感想>

 年をすごくとっておられる方はたくさんの事を知っておられるが地図を見ることができず、ある程度若い方はあまりご存知ではありませんでした。もう10年か20年早く調査できれば何倍かの成果が期待できたでしょう。



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