【神埼郡神埼町二子】 神埼町二子地区 現地調査レポート SI−14 944662 井手内 茂徳 944674 栗山 一郎
話者:緒方 ヨシ子さん
T.聞き取りに至るまで まず区長(小柳一信さん)へ電話したところ、区長さんはインフルエンザに罹っており話を聞けるような状態ではなかったので、区長代理の方を紹介してもらう。 区長の代理である緒方しろうさんに電話をかけると、「孫が今から家に来るので話はできない。その手の話に詳しい人がいるから、その人に電話しなさい。」と言われ、緒方ゆうじろうさんを紹介してもらう。 緒方ゆうじろうさん宅に電話をかけると子供さんが出て、今家には自分一人だと言う。もう少しするとおばあちゃんが帰って来るとのことを聞くが、次に電話するところがなくなってしまった。 途方に暮れて二子地区を歩き回っていたところ、農家の方らしき人を見つけて話を聞く。十数分話を聞いたが小名などは知っていて地図なども持っていたが、しこ名までは知らなかった。その人の話によると、「ここらへんで知っているのは区長さんか緒方しろうさんぐらいじゃないかな。」との事だった。緒方しろうさんのお宅を紹介してもらい行ってはみたが、神戸など遠方のナンバーの車が数台止まっていたためお邪魔はしなかった。 1時ごろになって再び緒方しろうさん宅へ電話して、もう一人詳しい人を紹介してもらう。紹介された「はらおかひさむ」さんに電話してみると、はらおかさんとは先程話を伺った農家の人だった。 最後の望みである緒方ゆうじろうさん宅に電話すると、おばあちゃん(緒方ヨシ子さん)がいらっしゃった。ゆうじろうさんは旅行中だったので、おばあちゃんにお願いして話を聞かせてもらった。(話の内容は別記)話の最後に、他にしこ名を知っている人はいらっしゃるのか聞いてみたが、引っ越しなどでもういないということなので、聞き取りは終わってしまった。
U.話の内容 まず最初に述べておかないといけないのが、二子には昔も田ん中が少なかったということと、緒方ヨシ子さんは他の地区から嫁いで来たために自分の家の田ん中のしこ名しか覚えていないということです。 田ん中のしこ名として聞いたのは「うえんくぎんたい」、「したんくぎんたい」、「ななかくだ」の3つです。「うえんくぎんたい」の“うえ”と「したんくぎんたい」の“した”とは上、下を表すらしいが、“くぎんたい”についてはおばあちゃんもよく分からないとのことでした。「ななかくだ」はその辺りにたくさんの田ん中が密集していたからだろうということでした。 次に権現谷池周辺の地区を「なかお」といい、その近くにあった大きな岩のことを「きょうよむつか」と呼んでいたそうです。「きょうよむつか」の名前の由来は昔、山のお坊さんがその岩でいつもお経をよんでいたからだということでした。 次に山にもしこ名があって、二子からみて手前の山を「はちごんやま」、奥の山を「くごんやま」と呼んでいたそうです。「はちごん」「くごん」の“ごん”とはごう(合)の意味で、山の大きさではないかとおばあちゃんは言っていました。 田ん中の用水の水源は、以前は権現谷池であったが水が足らずに、よく水の奪い合いがあったそうです。ひどい時には夜も眠らずに奪い合いをしていた時期もあったそうだが、圃場整備後は井戸が掘られて水の奪い合いもなくなったそうです。 |