佐賀県神崎郡東脊振村
1PS96015 片多由起子
1PS96017 金本裕美子
石動村 (東背振村) |
しこ名一覧 @ シタダ(四田)AミズヒキシドウサンBハッタダ(八田)CナカダエDソトワザキEカンタノマエ(間田前)Fコウジゴモリ(金寺森)Gニタダ(二田)Hゴガンリョ(ジョ)Iマルヤマンキタ(丸山北)Jフトツカ(太塚) |
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田畑 |
小字甲二本杉 のうちに |
@ シタダ A ミズヒキシドウサン *ミチキドサンという地名が変化して、田のしこ名になった。水争いがあったところ |
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小字乙二本杉 |
B ハッタダ(八田) C ナカダエ D ソトワザキ E カンタノマエ(間田前) |
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小字三本杉 のうちに |
F コウジゴモリ(金寺森) G ニタダ(二田) H ゴガンリョ*神社のそばにある I マルヤマンキタ(丸山北) *残りは人の名前など(ヒデサクetc) |
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小字四本松 のうちに |
J フトツカ(太塚) |
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地方名 |
小字一本杉 のうちに |
上部・・・ヤマダ(山田) 中央部・・・ムラサキ(村先) |
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小字二本杉 のうちに |
上部・・・ヤマグチ(山口)、ミチキドサン 中央部・・・シュウジ(小路) ⇒カンタノマエ(間田前)のそば |
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小字三本杉 のうちに |
川沿い左下部・・・ニシゴ(西溝) |
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川の名 |
・マエガワ ・ナカゴガワ この二つの川の境目で水争いがあった。 ・タデガワ →一番大きな川、この地域の用水源 ⇒タデガワの水路の水の取り出し口のことをホシマタ(干又)と呼ぶ。(この水路の清掃は毎年恒例の行事) *ここに、大きな石が3つほどあり、この意思で水量を調節していたとのこと。(昔の話) |
石動村 (東背振村) |
使用している用水の名 |
用水源 |
共有している他の村 |
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マエガワ(チクゴガワから引いている) |
タデガワ |
ミタガワ村(三田川村) 東背振村 |
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昔の配水の慣行・約束事 |
昔の水争いの有無 |
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・水を全部とってはいけない。 ・足りないからといって自分の地域より下流から水をとってはいけない。 ・水高を決めてそれを守る。それから減ってはいけない。 |
・本水路ナカゴガワに屯田兵が分流としてマエガワを作ったために、その二つの川の境目で水争いが起こった。(甲二本杉のミズヒキシドウサンのあたり。) *ミズヒキジドウサンという名の地蔵があり、土地の人は「水争いがおこりませんように」という願いを込めて、川の石を拾い、地蔵にお供えしたそうである。 |
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*聞き取りしたおじいさん、おばあさんの名前と生まれた年
最所康人:S22生まれ
大坪新:S11生まれ
末安五郎:S4生まれ
直塚功:S3生まれ
〈一日の行動記録〉
AM7:00 車で福岡を出発
AM9:00 佐賀県のローソン着、地図で行き先を確認
AM9:45 西石動のバス停前にて下車、上石動の川沿いの道に向かう
AM10:00 川沿いで農協を見つける。農協に人に、しこ名について詳しく知っている人を紹介してもらう。
AM10:20 ハウス(イチゴの)で、地元の人に道を聞く
AM10:30 農協で紹介された人の家につく。
大坪新さん (元)議員、東背振村
縁側で大坪さんに[コウジゴモリ、ハッタダ、ナカダエ、ソトワザキ、ニタダ、ミズヒキの
しこ名を教えてもらう。ミズサキジドウサンの水争いについても詳しく伺う。イチゴのパ
ク詰めで忙しそうなので、ここらへんでお暇する。
AM11:00 農協で紹介された、もうひとりの人の家に向かう途中で道を尋ねた農作業中の
末安五郎さん(カミシナリ村)にお話をうかがう。昔の地方名や、昔は田をヒデサクなどと人
名で呼んでいたことなどをうかがう。
AM12:00 大坪さんに紹介された直塚功さん(カミシナリ村)に、[ゴガンリョ(ジョ)、マルヤ
マンキタ、シタダ]のしこ名を教えてもらう。シタダ、ハッタダの他にロッタダなどもある
ことを聞く。
上石動のことはだいたい聞いたので、下石動へ向かう。
AM12:30 下石動の農家の人にしこ名に詳しい人を尋ねて、何人かおしえてもらう。片っ
端からあたるが、みなさん知っていらっしゃらない。
AM1:00 最後に紹介された人(米倉さん)の家に行き、[フトツカ]というしこ名を教えてもらう。
AM1:45 昼食をとる
〈考察〉
上石動の方は、田畑が多く、比較的情報も豊富だったが、下石動の方は住宅が結構多く
て、しこ名などの情報があまり(ほとんど)残っていなかったため、大変苦労した。川の下流
の方に進むにつれて、情報が集まりにくくなっていったように感じた。やはり、下流の方
が早く都市化されているからなのかもしれないと思った。また、「しこ名」が通じないので、
「田んなかの昔の名前」とか、「この地方の特有の呼び名」などといってしのいだ。どうも、
地方の呼び名がそのまましこ名になっていることが多いようだ。
〈感想〉
犬を飼っている家が多く、家を訪問するのに勇気がいった。村の老人中には、行政区画
が進み、しこ名が忘れ去られてゆくのを残念に思っている人も少なからずいるようだった。
こうやってしこ名を調べて、記録に残すことにより、後の世代にしこ名とともに言い伝え
や伝統なども残せるのではないかと思い、嬉しい気持ちになった。この現地調査に参加し
て本当に良かったと思う。