【神埼郡神埼町朝日】

 

936133 武田典之

936098 郷原孝義

話者:田中正夫さん(86)

江上達雄さん(73)区長

 

 僕たちは1月21日(土)に佐賀県神埼町の城原朝日地区に行った。目的地に着くと、そこはただ田んぼと家だけしかない、とてものどかな所だった。まず初めに、家の庭でゲートボールの練習をしていたおじいさんに話を聞いた。そのおじいさんは田中正夫さん(86)で、少し聞き取りにくかったものの、色々と親切に話をしてくれた。以前よく使っていたというしこ名を、次々と思い出すかのように語ってくれた。そのしこ名は地図に記入しているが、とても単純なものであり、分かりやすい。

そして、その後歩き回って別の人に話をうかがおうとしたが、土曜の午後4時頃ということもあってか、人は少なかった。そして、年齢は50才ぐらいだと思うが、若い人に話を聞いた。しかし、その人はしこ名について全く知らなかった。その代わり、その人にこの地区の区長さんの家を教えてもらった。

その区長さんの家に行くと、とても親切に対応してくれ、とりあえず話を聞くために家に上げてもらった。僕たちが調べているしこ名についてはあまり知らなかった。でも地図には載っていないという地区の呼び名を色々と教えてもらった。

それから話を進め、良い田んぼの条件を尋ねてみた。田んぼというのは土壌の質で決まるそうで、砂質かねんど質かによって大きく変わってくるということだった。砂質の土壌は収穫量は少ないものの米の質がとても良いらしく、ねんど質はその逆で、収穫量は多いが質があまり良くないということだった。

また、今年の水不足をどう対処したかという質問には、“全く問題がなく、むしろ例年になく、収穫の多い年だった”という答えが返ってきた。その理由は、この城原朝日地区はすぐ近くに川が流れていて、多少の水不足にも対応できるほどの水の確保はできているらしく、その上例年にない日照りが続いたため、収穫はいつもより多かったということだ。一反当たりの平均は8〜9俵程で、昨年は12俵もとれたという人がいたそうである。区長さんが言うには、世間が水不足であるというぐらいの方が自分たちにとっては都合がいいらしい。

そして、この地区の米は昭和10年頃1俵当たり6円という相場に対し、6円10銭とれるくらい質が良いということである。1俵で10銭違うから、とれ高全部ではけっこう差がつくということである。この質が良いということの原因となる、土壌の質の良さについては自信があるみたいだった。なぜなら、近くに山があり、木々の根が張っている土壌というのは養分が多く含まれており、その支流の水とあいかさなって良い土壌ができるからだそうだ。

この地区は水も豊富で、昔から水争いなどない、とても平和な所だった。

区長さんの名前は江上達雄さん(73)で、とても73才には見えない人であった。僕たちはこの地区に行ったことで、この村の人たちの親切さに触れることができた。やはり田舎の人たちは、都会のビジネスマンとは違ってとてものんびりしており、その分、心に余裕があるように感じた。僕たちは今回の目的であるしこ名の調査というもの以上に、現地の人々の人柄の良さに感動した。こういった機会を与えてくれたこの授業に感謝すると同時に、これからも是非こういった授業を続けてほしいと思う。

 

 

〔添付地図書き込み名、原本は佐賀県立図書館所蔵〕

・やつえだ

・中田(ちゅうた)

・城原(じょうべら)

・かめ割

・むしくらい

・天神さん畑

・北外(ほっけ)

・げんどん屋敷

・三反かく

・一反瀬

・南の前

・竹の下

・こしんさん

・鞍方(くらかた)

・古梁

・川むこう

・五坪

・十坪

・なまず河原

・上河原

・下河原

・北しゅうじ

・朝日堂

・夕日堂



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