【神崎郡千代田町迎島、柳島地区】

現地調査に関してのレポート

S1−18 944894 合瀬 草一

S1−18 944876 山口 直之

 

@聞きとりの方法

 2人1組なので1人が古老の人と地図を見せながら話をし、もう1人が地図やノートなどに書き込んでいく。

 

A内容

イ)しこ名

 しこ名について聞いてみると、もう圃場整備された後だったので、思いだすのに苦労しておられた。したがって結局わからなかった所も多い。またしこ名のつけ方はたんぼが4反なので“したんがく”とか、寺の近くならば“てらのまえ”などと、その土地にちなんだしこ名がつけられているのが多く、またこのようなしこ名はおぼえやすいので早いうちから思いだしてくださった。集落には北といったような方向からとったしこ名がつけられていた。土地が低いところは水につかりやすいので“○○がた”としこ名がつけられていた。他にしいどや橋、ほりなどのしこ名もある程度教えてもらうことができた。

 

ロ)水利

 水は筑後川からとっていた。むかしは塩水が入ってくる心配はなかったが、筑後川がせきとめられたために、近ごろは満潮時に水を入れることはできないという。また、1994年の旱魃の水対策はやらなくてよかったそうだ。むしろ、日がよく照ったので米は多くとれたそうだ。

 

ハ)田

 この村は、がたのあたり以外はどこもよく米がとれるそうだ。ちなみに昔、がたの税金は安かった。昔は一反当り8俵、今は1反当り11俵とれるそうだ。また肥料はしじみがいを砕いたものやあぶらかす、ほしかを入れていたそうだ。裏作もがた以外ではできたそうだ。

 

B今後の日本農業についての雑談

Q)今後の日本農業についての展望をお聞かせください。

A)後継者がいないね。金が安いし、もうけがないね。商人ばかりがもうけて、また、去年は外米が入ってきたけれど、商人の倉庫にはいっぱい米があったそうじゃないか。ヤミ米もでてきたし。やっぱ外国に勝つには大規模生産をしないといけないね。

 

Q)JAが中心としてやっていないのですか。

A)JA主体ではあるけれど、実際やっているのは米を作る人だし、コンバインは500万、トラクターは300万と高い。どんどん新しいのを入れていかんといかんし。また大きな精米機を買ったのはいいけど、人手をやとうとその分の金が高くつく。まあ大阪あたりに出荷はしているけど。

 

Q)そうですか、他には。

A)役所がなにもしてくれないね。国がやってくれないと食糧自給が下がる。いざとなったときは外国も自分の国のことばかりしか考えないので危ないだろう。話はかわるけど、農家は日曜日もいつも働いているので第一日曜日は休もうということに地域でやったけれど、長つづきはしませんでした。

 

Q)どういう米を作っているのですか。

A)ヒノヒカリをつくっているが、場所によっては米が粘りを持ちすぎてまずくなるのでコシヒカリも作っています。小麦とビール麦はつくっているが来春までですね。なにしろビール会社が外国のビール麦しかいらないといっているし、日本の小麦はパンには向かないからね。いま農家どうしでビールを作ろうという話もあります。そしたらビールも安くなる。まあビール会社が困るからビール麦はまた買ってくれるようになるかもしれない。それと外国の産物は船で運ぶけど、船は薬くさくてしょうがないらしいですね。牛などは薬品で太らせているらしいし、安全のためにも自給自足した方がいいと思う。

 

Q)ありがとうございました。

 

C感想

 ぼくは、今、日本の農業が危なくなっているので、農家の人たちはいらいらしているのかと思っていたら、あんがい落ちついて話してくれた。「これからの日本はあなたたちが背負っていくんだからね」ともいわれた。自分はなにかしらの責任感をちょっといだいた。現地の人は親切で、忘れたしこ名を他の人に電話で聞いたりもしてもらった。しこ名を調べてどうするのと言われたとき、ぼくはこのままでは分からなくなってしまうからと言った。やはり日本の農家の未来に不安をいただいていたのではないかと思う。現地まで行くのに少しだけまよったけれど、その分ものんびりとした風景をたのしめてよかった。最後に所得をいくらごまかしていますか、と聞いてみたかったけれど勇気がなかった。あと、やはり、前の日に電話をしておけばもっと聞きだせたのではないかと思うところが反省すべき点だったと思う。

 

教えてくれた人

大正13年生 大坪福一さん

昭和5年生 中村優さん



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