【杵島郡有明町南戸ヶ里】 中世の村と人々 現地調査レポート
1EC94042 加藤 裕次 1EC94048 岸良 浩之
話者:荒木 善久さん(生産組合長)
・調査場所 佐賀県杵島郡有明町南戸ケ里
・聞き取り方法 南戸ヶ里の生産組合長 荒木善久さんとその奥さんから聞き取り調査を行い、また数人のご老人の方々に電話をしていただきしこ名などを聞いた。
・聞き取り内容 水田にかかる水は、基本的には地下水を用い、その他に溜池や、廻里江川から水を引くなどもしていたらしい。また、水の配分に際しては輪番制で行われていたそうだ。しかし、用水は単独の水利であり、私たちの訪れた南戸ヶ里では川からは簡単に水を引くことは出来ず、深井戸を掘ったりムラの中で抜け駆けをしないなどのルー-ルを作って、すべての田に水が行き届くように工夫した。それでも干ばつなどが起きて水に不自由したときには、行政に頼っても乗り切れない田もあったうえに、盗み取りなどもあったそうだ。 1994年の未曾有の大干ばつの年には様々な工夫がなされ、何とか乗り切ることが出来たそうだ。例えば、深井戸を掘ったり、地域単位で協力し、本当に必要だと思われる田にだけ水を供給するなどした。もし、この大干ばつが30年くらい前に起こったとしたら、水の管理が行き届かず被害は甚大だったとおっしゃっていた。
・聞き取りしたしこ名(発音) ほりさき→ほいさき ひがしんせど、にしんせど、なかんせど しんごじゃー きんりゅう(錦立) 馬墓地→うまぼい 番所、番所裏 無段
・感想 今回の聞き取り調査はかなり苦労した。まず、しこ名を聞いてもその方は全く分からず、何人かのお年寄りに電話をしていただいてやっと聞き出すことができた。しかし、しこ名は明治19年に名称変更され、現在に至ってはほとんど分からないというのが実際に聞き取りしてみて分かったことであった。ほかに、雨がひどく訪れる家がなかなか見つからなかったこともあった。 残念だったのは、しこ名を聞き出すのに時間を費やしすぎて、その他の点についてあまり聞くことができなかったことだ。また、下調べが少し不十分だったようにも思われる。 今回訪れてみて、現地の方は我々の想像をこえる苦難を乗り越えてきたということが会話を通じてはっきりと認識することが出来た。めったにできない貴重な体験であった。 |