『歴史九州』2000-12号より 『地域資料叢書』の第4冊目として本書が発行された。構成は、「怡土庄 概説」「地誌篇」「怡土庄の諸相」「校訂」となっている。「地誌篇」には、 20編の現地調査レポートが収められている。 怡土郡・志摩郡の2郡からなる巨大荘園であった怡土庄のうち、福岡 市・前原市・志摩町の各所が取り上げられている。「怡土庄の諸相」で は、「鎌倉・建武期の雷山千如寺一寺領関係文書を中心に」「雷山が関 東御祈祷をしたことの報酬はいかにして支払われたか」「九大移転予定 地元岡は中世にはいかなる場所だったのか?」「波多江氏舘と早米献上」 「天正中・後期における筑前国志摩郡城郭の様相」などの論考が5編掲 載されている。速報を刊行したことについて編者は、「御協力いただい た地元の皆様に成果を報告するとともに、既調査分を共有のものとして、 今後の調査研究の進行を円滑にしたい」と考えたことによるとする。