里山その1 桜50選

さくら年々記

2015年/サクラ:定年退職サクラ紀行 久山・醍醐・神代

 65歳で定年退職となった。年金生活だが、自由にはなれたはず。

定年花見その1 久山

久山の名所を訪ねた。途中高麗仏(14世紀)を拝むことができた。福岡平野に 大陸との距離感はない。

定年花見その2 醍醐

三宝院前は長蛇の列、そこは避けて伽藍を廻って上醍醐へ。ここは半ば冬だっ た。かねてその良さを噂に聞いていたが初めて上がった。比叡山も高野山もか つてはこうした静寂地だったのだろう。

女人禁制だった醍醐山上に白河天皇中 宮賢子の陵墓があったことを不思議に思った。28歳で亡くなった賢子は白河天 皇に溺愛されたらしい。合葬されている(おんなへんに是)子内親王も令子内 親王もその夫婦の子ども。 子二人は斎宮・斎院であり、神と結婚したから人間とは結婚しないはずだが、辞 任後は弟堀河天皇や甥鳥羽天皇の、准母となって、さらに中宮・皇后となった。 地位が后ということで非配偶と解釈されている。身分が高貴だと一人の男の母 にも奥さんにもなれるのだろうか。みな埋葬墓は醍醐山上ではなく、低いところ にある。墓を造るのは残された人間。彼女たち母子をもっとも愛したのは白河法皇 だから、かれが選定したのだろう。埋葬されている本人たちはあずかり知らな いこと。  山上という至上の聖地に白河法皇の命によって墓所が設けられた。墓はけっして穢 れではない。高野山もまたしかり。中尊寺金色堂もしかり。墓塔はスツウパ(卒塔婆)、 その中心に仏がいる。塔が穢れているはずもない。死を汚れ・穢れとみる思想は 本来仏教にはないと思うのだが。  差別を穢れから説こうとする学界一部の動向には違和感を感じている。

 下山してから霊宝館まえの老桜に感嘆した。霊宝館には開山聖宝置文があった(醍醐寺 展図録にも図版掲載)。東南院に悲田院があったことを示す史料として『河原ノ者・非人・ 秀吉』で使っている。6行分は石田三成に指しだしたとある。開祖の署名の部分を出すと いうことがあるのだろうか。なお三宝院、伽藍、宝物館みな入るのに600円が必要、共通 券は1500円、さらに上醍醐も600円。宗教法人が別なのかと聞いたら、同じという答えだ った。京都市民なら一箇所だけで満足して帰るんでしょう。

定年花見その3 神代植物公園

山の友人の一周忌に集まる。雨だったけど四阿があって、入れた。献杯。ミツバツツ ジが咲いていて、まるで山の中のような気がした。 東京は老人に優しく、国立科学博物館は65歳以上無料、この植物園は半額の250円だった。


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